様々な原因で発生する認知症。長年認知症の研究を行い、数々の論文を著している認知症の専門家、金沢大学附属病院脳神経内科准教授の篠原もえ子さんに認知症予防について聞いた

認知症リスク低下に「ポリフェノール」

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金沢大学附属病院脳神経内科 篠原もえ子准教授:
私たち金沢大学脳神経内科学のグループが長年七尾市中島町で行っている「石川健康長寿プロジェクト」の研究成果から、日常生活にも生かせる認知症予防のヒントをお伝えします

「緑茶のポリフェノールが認知症リスクを低下させる」と言う研究成果を以前、紹介したが、こちらに篠原准教授の研究グループが新たな研究成果を報告した。

それが、ハーブの一種であるレモンバームから抽出した「ロスマリン酸」というポリフェノールに、高血圧のない高齢者の認知機能低下を防ぐ効果が確認されたというものだ。

稲垣真一アナウンサー:
やっぱりポリフェノールなんですね。
篠原准教授:
はい。今後さらに長期間の検証を行い、アルツハイマー型認知症に対するポリフェノールの発症予防効果を明らかにしていきたいと思っています

しかし、認知症予防のカギはポリフェノールだけではない。それが今回のテーマ「歩くのが遅いと認知症に?」だ。

2016年~2018年に七尾市中島町の高齢者670人を対象にこんな調査を行ったと言う。

まず体力測定を行い、日頃の運動習慣などについてアンケートを行った。その後、脳のMRI画像を撮影して分析したところ、歩く速度が1秒あたり1メートル以下の人は、そうでない人と比べて脳全体の容積と記憶などに関係する海馬の容積が低下し、脳の血流不足で白く映る部分が増加しているという結果が出たのだ。

稲垣アナ:
かなりはっきりと結果が出ているのが分かりますね。では歩く速度を早くすればいいのですか?

篠原准教授:
いえ、そういうことではありません

高齢者は、要介護の状態になる前に、徐々に心や体の状態が弱くなる「フレイル」という状態になることが分かっている。その症状の一つが「歩くのが遅くなる」こと。

改善のポイントは、毎日少しでも体を動かすこと。

例えば一日10分から20分を目安に歩いてみる、椅子での立ち座りをゆっくり10回ほど繰り返してみるなど無理のない範囲で体を動かしてみてほしい。

認知症予防の一番のポイントは健康な生活。ぜひ日ごろから心掛けてみてほしい。

(石川テレビ)

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