ローンや所得税が免除!? “異次元”の少子化対策とは　福岡市は0歳から保育料”無償化”を検討

待ったなしの課題に「異次元の対策」で取り組むとした岸田首相。将来子どもを産みたいと思う人が安心できる政策になるか。街の人の”心配”と実際にハンガリーで取り入れている「異次元の対策」とは。

街の人が求めるのは「経済的支援」

岸田首相は1月4日の会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」表明。

福岡市は、新年度から2人目以降の子どもの保育料を無償化する方向で検討している。第二子の保育料については現在、国が3～5歳までは無償化しているが、0～2歳までは半額の助成にとどまっていて、福岡市は残りの半額を補助する。関係者によると所得制限は設けない方針だという。

街の声はー。

30代女性・子ども1人：
妊娠中に結構自己負担が多かった。出産費用で42万円出たが、同じくらいの金額を手払いしたので。そこは全部ただにしてほしい。第2子、3子は考えてはいるが、足踏みしてしまうところがある

20代女性・独身：
子どもは欲しいですね、2人ぐらい。私たちが、ちゃんと収入がないと子どもたちも幸せにならないので、いっぱい産めばいいという問題ではないと思う

福岡市早良区の育児サークル。0歳から3歳までの幼い子を持つ母親たちから聞かれたのは、経済的な不安への声だった。

4児（小1、年中、年少、1歳）の母親：
これからは養育費、まだうち小さいから、あまりそこまでかかっていないが、これから中学、高校となって教育費や食費もかかる。経済的支援は欲しいです

2児（年長、1歳）の母親：
いろいろ習い事をやらしてあげたいなと思ったときに（お金が）足りない。どこかを削らないといけなくなる。環境がよくなったら3人目も考えられるかもしれない

サークルの主催者はー。

育児サークル「ことりちゃん」を主催・永岡万里子さん：
産めるのならいっぱい、子どもってかわいいので、産みたいのはあるが、どうしても「お金」ですかね、いろんな方と話していても。国は、もっと子どもを増やしたいと言うけど、お金を使っているのは違うところ。もうちょっと親が、子どもにお金がかかると思わずに、大学とか高校とか行きたいところに行かせてあげられるような日本になってほしい

育児情報誌の発行など子育て関連事業を行う福岡市の企業。社長の濱砂さんは30年以上、親の声に耳を傾けてきた。

「フラウ」濱砂圭子・代表取締役社長：
フランスでは企業が大学の資金を出してくれている、そういうのが異次元ではないか。親が全部背負う、本人に借金を背負わせる、以外に企業が研究者としてここで学んでほしいと先行投資するとか、そういう発想が日本にはない。結婚して子どもを持っている人たちが、ピリピリせず幸せだという雰囲気をつくり出していけるのが国の支援だと思う

まさに”異次元” ローンや所得税が免除

世界に目を向けるとまさに異次元の対策に取り組んでいる国がある。

ヨーロッパのほぼ中央に位置するハンガリー。970万人が暮らすこの国では、まさに異次元といえる少子化対策が実施されている。

ハンガリー在住・鷲尾亜子さん：
4人出産した女性は、個人所得税が生涯免除される

ハンガリーでは、子ども1人ごとに母親の所得税が減免され、4人産むと完全に免除される。さらに補助金も充実しているという。

ハンガリー在住・鷲尾亜子さん：
出産を奨励するローンで、訳すと赤ちゃんローンという名前。最大1,000万フォリントを20年間借りられる。日本円にすると350万円くらい。第3子を出産した場合はローン残高の100%が免除される。1,000万フォリントというローンが補助金みたいな感じで丸々もらえる

ハンガリーの平均月収は約11万円。子どもを3人生めば350万円のローンの返済が免除され補助金のようになるのだ。また、住宅を購入する際には子どもの数に応じて20万円から350万円が支給されるなど異次元と言える少子化対策を実施している。

さらにハンガリー政府は、新たな少子化対策を打ち出した。

ハンガリー在住・鷲尾亜子さん：
1月以降に出産した30歳未満の女性は、個人所得税を30歳になるまで払わなくていい。あとは大学卒業後2年以内に出産した場合は学生ローンの残高返済を免除する。人口が毎年3～4万人くらいは減っているので、このまま行くとかなり高齢化が進んで、現役世代が減って、負担も大きくなるし国力自体も弱くなってしまうという危機感があるので、いまの政権は頑張っている

ハンガリーの少子化対策の予算は、GDP比6.2%。日本は1.73%。少子化対策に対する本気度の違いが明らかだ。