「かなりギリギリ」学生服の生産に遅れ…背景には中国のゼロコロナ政策も【愛媛発】

2022年、東京で学生服が入学式に間に合わないという事態が起きた。学生服の生産は、2023年も遅れる状況となっており、愛媛も例外ではない。取材した松山市の店でも、取引先から「生産が遅れる」と連絡があったという。

「#制服届かない」愛媛でも…

愛媛県内も受験シーズン本番。春からは新しい学校での新生活が始まるが、2022年の春、SNSでこんな言葉が拡散された。

「#制服届かない」

2022年、東京で学生服が入学式に間に合わないという事態が起き、このハッシュタグがついたツイートが注目された。実は2023年の春も、学生服の生産が遅れる状況となっている。愛媛も例外ではない。
山下洋品店の山下浩志さんは、「男の子ですか？女の子ですか？女の子で、かしこまりました。夏と冬、両方採寸させていただけたらと思いますんで…」と、電話での問い合わせに応対していた。

山下洋品店・山下浩志さん：
申し込みのお電話です。きょう午後6時に入ったっていう感じです。（お客さんの）動き出しは冬休み長かったせいか、ちょっと遅いですね

制服の採寸は早めに

1月16日、松山市で75年続く学生服販売店を訪れると…。

橋本利恵アナウンサー：
ことし春に中学生になるお子さんが、こちら保護者の方と一緒に制服の採寸に来ています。3年間の成長を見込んでの制服ですから、ご両親も悩ましいですね

山下洋品店・山下浩志さん：
175cmも着るだけ着てみます？見た目は175cmの方がきれいかなと思います。これも言ったら好みです

4月から中学生になる松山市の三好蓮珠くん（小6）も、両親と一緒に新しい制服の採寸に訪れていました。

蓮珠くんの父親：
中がシャツやったら、もうちょっと緩くなりますよね

山下洋品店・山下浩志さん：
じゃあ、180cmの方で

三好君が入学する中学校の制服は詰め襟タイプのいわゆる「学ラン」。悩んだ結果、少し大き目のサイズにした。

4月から中学生・三好蓮珠くん：
初めて着た学ランはちょっと重かったし、かっこよかったんで。楽しみ

三好蓮珠くんの母親：
（学ラン姿は）何か新鮮な感じでしたね

この店では、松山市立の小学校5校・中学校5校、県立高校10校の制服を販売している。「大切」な日に向けた「大切」な制服。しかし今、気がかりなことが…。

山下洋品店・山下浩志さん：
年始になって確認したら「遅れている」「今年はちょっと大変かも」っていう連絡がありまして、すごく今焦っております

年末から年明けにかけて取引先の複数の学生服メーカーから、「生産が遅れる」と連絡があったという。

山下洋品店・山下浩志さん：
採寸を早めにしていただかないと、後になればなるほど、お渡しが遅れてくるかなっていうのが

三好蓮珠くんの母親：
（学生服の生産遅れについて）お友達のお母さんから聞いて知ったので、早めにちょっと予約入れさせてもらってきたんですけど

同じく子どもと採寸に着たお母さんに、制服の遅れについて伝えると…。

4月に息子が中学生になる母親：
今、聞いてびっくりしたとこです。来て良かったなって

ーーもし入学式に制服が届かなかったら？

4月に息子が中学生になる母親：
つらいですよね。お子さんもつらいですし、親御さんもそれはちょっとつらいですよね

山下洋品店・山下浩志さん：
高校の制服になりますが、2022年、うちもかなりギリギリで、入学式の2日前に商品がそろってお渡しができたっていうケースもありましたので、やっぱり早めに制服採寸をお願いできたらなと思います

学生服生産の現状大手メーカーは…

2023年の春に向けた学生服の生産の現状は実際どうなっているのか。大手メーカーを取材した。

愛媛菅公学生服・土生浩三常務取締役：
結構苦労しているのは事実です。その背景としまして、大きくは生地であったり、服資材の入荷がちょっと遅れてしまっているっていうのもございます

学生服の生産でまず問題になっているのが、生地の調達の遅れだ。最近まで続いていた中国のゼロコロナ政策など、世界的な影響が背景にあるという。

愛媛菅公学生服・土生浩三常務取締役：
ロックダウンとか含めて、なかなか（海外の工場が）順調に稼働していないというのがあって、国内で作っていこうかっていうのが若干あるというのは聞いてますので。そうなると素材も国内での調達ということになってきますので、生地を発注して3カ月くらいで準備できてたものが、半年くらいになったりとか、そこからまた縫製の段取りをしていくというような形になってますので、2022年はそういうことはまだなかったですね