新型コロナの第8波となっている中、政府は現在の“2類相当”から“5類”へこの春にも引き下げる方向で調整している。感染症の専門医に今後の新型コロナとの向き合い方やマスクの必要性について話を聞いた。
新規感染者は減少か
この記事の画像(9枚)静岡県内では1月の正月休みがあけて、感染者の急激な増加が始まった。1日の感染者数が最も多かったのは、7日の9475人だ。ただ、19日は4755人と1週間前より4000人以上減っている。
今後について、静岡県は13日の記者会見で、1月初めの増加のペースなら1月22日からの週にも1万2300人に、12月の増加ペースなら2月初めに1万人を超えるとの予測を示している。
―現在の感染状況と今後についてどうみているか。
矢野 邦夫 医師(感染症専門):
今後は減少していくと思っています。第8波は寒い地域、北海道などから始まってきて、静岡県は3週間後から追いかけているような感じです。北海道はもう減少傾向に入っています。おそらく静岡県も減少傾向に入ってくると思いますので、いままでの経過を見ると、増えてくるようなイメージを持つかもしれないが、今後はかなりのスピードで減少すると予想しています
死者増加も2年前と違いが
いま気がかりなのは、死者の増加だ。1日に24人という日もあった。
―死者数が増加している状況をどうみているか。
矢野 医師:
オミクロン株で重症化率は減ってきていますが、感染者が多いのでどうしても重症化してしまう人の数は多くなります。ただ、中身が違っていて、2年前は新型コロナに感染して肺炎が重症化して亡くなられた方が多かった。現在そういった方はほとんどいません。基礎疾患のある方、高齢の方で、たまたま新型コロナに感染し死亡してしまったという方がほとんどです
今春にも「5類」へ
政府は、新型コロナの法律上の位置づけを、この春にも引き下げる方向で調整を進めている。現在の「2類相当」から季節性インフルエンザ並みの「5類」とする方向だ。
これに合わせ、屋内でのマスクの推奨を見直し、着用の対象者を発熱など、他の人にうつすリスクがある人に限定する方針だ。加藤厚生労働大臣と感染の現状などを協議し、23日に召集される通常国会で正式に表明することになる。
矢野医師は1年前の2022年1月に「ワクチンの進展と、熱中症、幼少期の感染症の経験」から、「半年後の7月にはマスク撤廃が必要」と話していた。
―今回の政府の方針、今後のマスクのあり方について、どう感じるか。
矢野 医師:
私は2類相当から5類にすることは賛成ですし、マスク撤廃も賛成です。というのも、新型コロナができる前に、人に風邪を引き起こすコロナウイルスは4種類ありました。これまでと同じように今回の新型コロナは5番目の風邪になるはずです。単なる風邪にずっとマスクをしているというわけにはいかないので、5類になったころからはマスクをやめてもいいのではと思っています
今後 どう向き合う?
―ワクチンも、治療薬も開発され、新型コロナについて多くのことが分かってきた。いま私達はどれくらい新型コロナを恐れ、どう対応すれば良いのだろうか。
矢野 医師:
新型コロナに感染することはもうやむなし、重症化しないようにすればいいと。オミクロン株になってから重症化しにくくなりました。それにオミクロン株対応のワクチン接種をしてもらい、重症化しにくくなれば、それほど恐れる必要がなくなってくるのではと思っています
矢野 邦夫 医師:浜松市の感染症対策調整監。浜松医療センター感染症管理特別顧問
(テレビ静岡)