2023年、札幌ドームからエスコンフィールドHOKKAIDOに移転するファイターズ。新球場が出来るのが北広島市だ。人口5万人規模の小さなマチは、なぜ誘致することができたのか。市役所の担当者に話を聞くと、その理由が見えてきた。
電光石火の早業 北広島市の猛アピール

札幌ドームからの移転構想が判明したのは2016年5月。
北広島市は1ヶ月も経たない間に市長自ら球団事務所を訪問、きたひろしま総合運動公園予定地へ誘致した。
この即断即決の誘致ができた理由について、川村室長は次のように語る。
「誘致に1か月かからなかったという話になるが、私達は前からの情報をもとに準備をしていたのが事実です」
「過去に運動公園を造る話を進めた時に、ファイターズがヒアリングをする相手だった。二軍の試合ができる規模についてアプローチをしました。その時、ずっとあたためている構想(新球場構想)を聞いたのです」
事前情報を得ていたという北広島市。
さらに2002年、ファイターズの北海道移転が決定した年には練習施設の誘致合戦が起こり、北広島市も期成会をつくった。
川村室長は「市民や関係団体を巻き込んで誘致活動をする大切さを学んだ」と振り返る。
北広島市は経験と情報があったからこそ、電光石火の誘致を果たすことができた。
事前情報得るも…出遅れた札幌市の対応

一方の札幌市。秋元克広市長も「新球場構想を検討したいという話は聞いていた」と事前情報を得ていたことを認めたが、北広島市に比べて対応は大きく出遅れた。
移転構想判明から1年、ようやく北海道大学と旧月寒ドーム周辺の土地の2つを提案。
しかしアクセスと広さに課題が残り、最終的に真駒内公園を提案するも、一部住民から反対運動が起きてしまった。
ファイターズとの協議回数でも北広島市は17回、札幌市は7回と、倍以上の差がついていた。