1月1日元日。福井テレビの取材班は県内唯一の日本百名山「荒島岳」に登った。理由はもちろん「初日の出を撮りたい」。
しかしこの日、天候は悪く、山には大量の雪が積もる過酷な状況。6時間半の登山の果てに、取材班が見た光景は?

「初日の出」を拝みに白銀の雪山へ

1月1日、天気予報は雪のち曇りだった。

福井テレビ・山田千代記者:
元日の午前0時30分を回りました。ご来光まで6時間半を切っています。なんとか晴れてほしい、そんな気持ちです

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厳しいとは分かっているが、一縷(いちる)の望みをかけて雪山に足を踏み入れた。

登山ガイド:
とりあえずゆっくりと。汗かかない程度に行けるところまで行きましょう

スタートから5時間後、荒島岳の難所「もちが壁」に到着した。急斜面が行く手を拒む。膝上まで積もった雪をかきわけて進み続けるしかない。

肌を突き刺す冷たい強風。巨大な樹氷が行く手を遮る。それでも初日の出を撮影するため、一歩一歩確認しながら着実に歩みを進めた。

行く手を阻む巨大な樹氷
行く手を阻む巨大な樹氷

午前6時、徐々に空が白んできた。あたり一面は相変わらずの銀世界だが、心は少しだけ穏やかに。その光は少しずつ周囲を照らし始める。
最後の斜面にたどり着いた。ここを超えると標高約1,500メートルの山の頂に到着する。

「あと少し」
メンバーたちと声をかけあった。

山頂は雲の中…そのとき“奇跡”が

上り始めてから6時間半後、ようやく目的地の山頂にたどり着いた。気温を見ると氷点下6度だった。風速は11メートル。まさに“命を懸けた”アタックだったが、残念ながら四方は雲で覆われていた。

ご来光の時間となる午前7時を迎えた。決死の努力もむなしく、厚い雲に覆われ周囲は暗い。ご来光は断念するしかなかった。
諦めて、下山を始めたそのときだった。幸運にも雲が流れ始め、上空には青空が見えてきたのだ。

「もしかして…」
最後の願い込めて待つこと10分、ついに待ちに待った瞬間が訪れる。

登山スタッフ:
うわー、あったかい、すごい暖かい

山頂に輝く黄金色の球体。周囲を優しく照らす光は待ちに待ったご来光だった。わずか10分間の短い時間だったが、その巨大な存在をカメラに収めることができた。

ご来光を拝んだ山田記者は「到着したときは絶対に見ることはできないと思っていた。突然霧が晴れ、まさに奇跡だった」と感動を語った。

(福井テレビ)

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