宮城県仙台市出身の若手落語家・春風亭与いちさん。2年前の2021年、二ツ目に昇進した与いちさん。新型コロナで寄席も大きな影響を受けたが、少しずつ戻ってきたお客さんを前に、2023年も芸を磨き続ける。

高校卒業と同時に入門

東京・上野にある「鈴本演芸場」。160年以上の歴史を持つ老舗の寄席。宮城ではおなじみの、遊園地のテーマソングで登場したのは…。

春風亭与いちさん:
私は春風亭一之輔の弟子で春風亭与いちと申します。よろしくお願いいたします

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仙台市出身の落語家春風亭与いちさん(24歳)。

春風亭与いちさん:
なるほど、ツーっときてルーっと来て、ほいでツル。じゃあ、馬っちゅうのはオスがウーって来てあとからメスがマーって来てほいで馬っすね。蛇だってそうだ。オスがヘーって来て、メスがびゃーって…

仙台向山高校出身の与いちさん。幼い時から父親の趣味である落語に親しみ、高校卒業と同時に大好きな噺家だったという春風亭一之輔さんの元に入門した。

春風亭与いちさん:
高校に通いながら隙さえあれば、師匠の独演会や寄席を見に行って、弟子入りをお願いに行ってという感じ

2021年3月には「二ツ目」に昇進した与いちさん。しかし、新型コロナの影響で寄席を訪れる客が激減。昇進記念のお披露目も延期になった。

春風亭与いちさん:
寄席はまるでお客さん来なくなって、お客さん来なくて開演しない日もあった。一人やっと来て急に始める日もあった

その後は少しずつお客さんが戻ってきたが、より一つ一つの高座を大切にしたいという気持ちが強くなったという。

“宮城でしかありえない”

与いちさんは現在、東京を拠点に活動しているが、地元・宮城での活動にも力を入れている。
2022年12月に行われた一年を締めくくる独演会には、与いちさんの落語を楽しもうと多くの人が集まった。開演を前に、与いちさんも控室で準備を進める。

梅島三環子 アナウンサー:
地元でやると違います?

春風亭与いちさん:
違います。全然やっぱり。ホーム感が強いですよ

梅島三環子 アナウンサー:
何でホーム感、感じます?

春風亭与いちさん:
出囃子のベニーランド(仙台の遊園地)で手拍子が来る。これは宮城でしかありえないですよ(笑)

そして、始まった独演会。出囃子に合わせたお客さんの手拍子と拍手に包まれ、与いちさんが高座へとあがる。

春風亭与いちさん:
春風亭与いちでございます。こんな師走の忙しい最中をご来場誠にありがとうございます。まぁ本当に忙しい人は来ないと思いますけれど…

独演会では、お客さんのリクエストに応えて4席を披露し、客席は笑いに包まれた。

梅島三環子 アナウンサー:
与いちさんの魅力は?

愛知から来た客:
表情が豊かだったり、勢いがあるところと思う

地元の客:
高校の時に文化祭で落語をしていて、そこからずっと聞いてきたので、プロになってうまくなっていく過程も見ているので、これからも楽しみです。期待しています

会場には、仙台向山高校の同級生の姿も。

梅島三環子 アナウンサー:
同級生としてはどう?

高校の同級生:
誇らしいですね。そんな上から言えないけれど(笑)。何も使わないけれど情景が湧いてくるというか引き込まれると思う

梅島三環子 アナウンサー:
年内最後の独演会、手ごたえは?

春風亭与いちさん:
非常に疲れました(笑)でも、ものすごく反応良くていいお客さまでやっていて楽しかった。外から宮城県にお客さまを呼び込める落語家になることを目標にしている。そのために宮城で常に会をして、そういう方がどんどん増えていけるように頑張っていきたい

現在、「二ツ目」の与いちさん。次に目指すのは「真打」。

春風亭与いちさん:
もちろんそうです。次は…。これはもう大変ですよ(笑)。でも真打がゴールじゃない。そこから先もずっと長いから、お客さまには長い目で応援していただけたらなと思いますね

コロナ禍でも一歩ずつ前へ。落語家・春風亭与いちさんの歩みは続いていく。

(仙台放送)

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