8日からベトナムを訪問中の自民党の菅前首相は9日、ベトナムのチン首相と会談し、ウクライナ侵攻を続けるロシアや弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮などについて、両国で懸念を共有した上で、防衛面での協力を進めていく考えで一致した。

ベトナム・ハノイで9日に行われた会談で、菅氏は「ロシアによる核の脅しは受け入れられない」「力による一方的な現状変更は認めないとの決意を示し続けることが必要だ」などと述べた上で、ベトナムとの安全保障分野での協力を求めた。さらに菅氏は「北朝鮮の核やミサイルは看過できず、拉致問題でも協力をお願いする」と伝えた。

チン首相と会談する菅前首相(9日 ベトナム・ハノイ)
チン首相と会談する菅前首相(9日 ベトナム・ハノイ)
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これに対し、ベトナムのチン首相は、「国際法に基づく問題解決が重要だ。拉致問題での日本の立場を支持する」とした上で、「両国間での安保・防衛の協力についても具体化していきたい」と述べ、日本・ベトナム両国で安保・防衛面での協力を進めていく考えで一致した。さらに、日本に対して海洋進出を強める中国を念頭に「南シナ海情勢での理解と協力をお願いしたい」と伝えた。

また菅氏は「両国の広範な戦略的パートナーシップをさらなる高みに引き上げるべく、関係を一層強化をしていきたい」と述べ、農作物の更なる輸入解禁を求めた。

チン首相は2023年が両国の国交樹立50周年となることに言及し「人的な交流を強化していきたい。計画を立てて、有意義な一年にしたい」と述べた。

ベトナムは菅氏が首相在任中に、初めて訪れた外遊先で、今回はベトナム側から招待を受けた。