神奈川県平塚市で、70代の夫婦の遺体が見つかった事件で、50歳になる息子が、殺人容疑で再逮捕された。捜査の過程で、夫婦の遺体に、燃やされた跡があったことも判明。猟奇的とも言える事件の真相は明らかになっていない。
50歳息子 70代両親を殺害か
自営業の新谷嘉朗容疑者(50)は、先月12日深夜ごろ、平塚市撫子原の自宅で、母・清子さん(75)の首を、何らかの方法で圧迫し、殺害した疑いがもたれている。同じく遺体で発見された父・哲男さん(76)さんについても、新谷容疑者が殺害した可能性が高いとされる。

翌13日、哲男さん・清子さん夫妻と連絡が取れないことを不審に思った知人が、近くの交番に相談し、事件が発覚。行方が分からなくなっていた新谷容疑者は、14日、隣の静岡県内で身柄を確保された。
司法解剖の結果、夫妻の死因は、首を絞められるなどしたことによる窒息死と判明。その後の取材では、2人と同居する息子の新谷容疑者による「家庭内暴力」が、次々と、明らかになっていた。
「息子に暴力を振るわれた」
神奈川県警によると、おととし10月から去年9月にかけて、哲男さん・清子さん夫妻から、県警平塚署に対して、合わせて6回、相談が寄せられていたという。いずれも「息子に暴力を振るわれた」「息子が暴れている」という内容だった。


かつて、日本の警察当局は、家族内のトラブルへの関与に消極的だった。しかし、重大事件に発展するケースが相次ぎ、方針転換。今や、DVなどが疑われる場合、積極的に”動く”ことが少なくない。
ところが、哲男さん・清子さん夫妻は、警察官が自宅に駆けつけて来るも、事件化を望まなかったそうだ。暴れる息子を抑えるために、警察に頼っただけだった。結局、平塚署は、新谷容疑者に対して警告をした上で、高齢者虐待防止法に基づき、平塚市に通報したという。
「虫けら以下」両親を非難する言葉
「高齢者への虐待が疑われる」との通報を受け、平塚市では、夫妻に対して、相談支援を行い、合わせて22回やり取りをしていたとのこと。また、担当者が、自宅を訪問するも、「緊急を要する差し迫った危険性はない」などと判断していたそうだ。

会社役員だった哲男さん。妻の清子さんは、健康体操の講師を務めていたという。家族を知る人は、取材に対して、「普通の家庭だったと思うんです」と、以前の様子を振り返った。しかし、近所の人は、家庭内暴力が疑われる、怒鳴り声や叫び声を、度々、耳にしていた。
また新谷容疑者のものとみられるSNSには、長年に渡る両親への”恨み”の文言が並んでいた。「両親が、私に対して有る事無い事を並べ立て何十年にも渡って中傷してきたのは許せない」「二人は人間的には最低の部類に入る虫けら以下の存在だ」「ゴミくず以下の男」等々。そこには、2人を非難するような強い言葉が並んでいた。
両親の遺体に燃やされた跡
そんな中、哲男さん・清子さん夫妻の遺体に、燃やされた跡があったことが明らかになった。殺害された後に、何らかの理由で、遺体に火がついたという。

新谷容疑者が、直接、遺体に火をつけたのか、あるいは、自宅に放火し、その火が、遺体に燃え移ったのか。原因は分かっていない。
SNSの内容は支離滅裂だが、何らかの強い恨みは感じられる。相次いでいた「家庭内暴力」との関連は。燃やされた遺体と合わせて、事件が、猟奇的な側面を帯びてきたのは間違いない。容疑を否認し、動機についても語らない新谷容疑者。「普通の家庭」に何が起きたのか。