「ワールドチャンピオンとなったチームは、20日正午、ファンと優勝を祝うためオベリスクに向かう」

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36年ぶりの快挙を祝うため、優勝パレードの実施を決めたアルゼンチンサッカー協会。
19日、首都ブエノスアイレスの中心部に建つシンボル、オベリスクに向かってパレードを行うと発表しました。

そのため、周辺では前日から寝袋持参で場所取りする人や、巨大なトロフィーのオブジェを載せた車で乗り付け、待ちきれないといった様子。

パレード当日の朝、街を取材してみると、「メッシとトロフィーを見に、オベリスクに行く」という、アルゼンチン代表のユニフォームをまとった人たちの姿が見られました。

パレードが始まる直前には、オベリスクのある広場は隙間もないほど人が密集し、バスが通る道がどこなのかも分からない状態に。

そして、迎えた現地時間の午前11時半すぎ、選手たちを乗せたバスがいよいよ出発しました。
エセイサという町からブエノスアイレスまで、約31キロの道のりをパレードします。
通常なら車で1時間ほどの距離ですが、選手たちを少しでも近くで見ようと、人々がバスに押し寄せ、なかなか前に進むことができません。

選手たちの到着を待つオベリスク周辺でも、興奮からか高さ67mの塔のてっぺんで旗を振る人が現れ、警察などが出動する事態となりました。

急遽ルート変更?大混乱の現場

時間の経過と共に、高まる現場のボルテージ。しかし、ここで信じられない事態が発生しました。なんとアルゼンチン代表チームがツイッターで、ルートの変更を発表。

オベリスクにほど近いメインストリートに人々が集まりすぎてしまったため、別のルートを通ることにしたというのです。
この一報が流れると、人々はぞろぞろとその場を離れていきます。
おとなしく家に帰るのかと思いきや…驚きの行動に。

SNSに投稿された映像に映っていたのは、高速道路上を歩く人々。
ルート変更を受け、パレードが見えるかもしれない新たなポイントに移るため、高速道路上を歩いて移動を始めたというのです。車が高速道路を走れないため、一般道が大渋滞。

混雑する道路に、錯綜する情報。
地元メディアも「バスの通るルートが何度も変更になって、正確に誰も把握していません」と報じる事態に。

そして、パレード開始からおよそ4時間…

「群衆の喜びが爆発し、バスでのパレードの継続が不可能になった」

アルゼンチン政府がツイッターで「バスでの移動の中止」を発表しました。
バスが前に進めない状況が続いたほか、バスに飛び乗ろうとして転落する人などが出たことから、警備当局は選手の安全を確保するためにバスでの移動を中止し、急きょヘリコプターでの「凱旋飛行」に変更したのです。

500万人が祝福に駆けつけたという、バスによるパレードが突然の中止。
アルゼンチン在住のコーディネーター相川知子さんはその時の様子をこう話します。

コーディネーター 相川知子さん:
みなさん歓喜の頂点になったので周りが見えなくなって、とにかく上へ上へと、信号機やステーションバスの上に乗ってしまって、危険と言うよりは、彼らがどう動くか分からなくて、警察も制御できない、そういう状態でした。
パレードのバスの進行を人が遮断してしまう感じで、集まってしまったので。バスが動けない状態で、ブエノスアイレス市にも入ることができませんでした。

36年間、アルゼンチン国民が待ち焦がれた凱旋パレード。
熱狂のあまり予想外の結末を迎えたものの、忘れられない一日となったようです。

(めざまし8 12月21日放送)