家族をテーマにした写真家、浅田政志さんの写真展が愛知県春日井市で開かれた。
「何気ない日」こそ写真を撮るべきテーマがある…
愛知県春日井市で開かれた写真展「Life Stories」。写真の中に様々な家族の物語がある。
三重県津市出身の浅田政志さん(43)の写真展だ。家族をテーマにした写真を撮り続け、写真界の最高峰・木村伊兵衛賞を受賞している。
今回、浅田さんは一般から募集した5組の家族を撮影した。
浅田政志さん：
自分の家族を思ったりとか、自分の大切な方を思うきっかけだったりとか、そういうことになってくれれば1番嬉しいなと思っているので
親子3人で、春日井市で暮らすエジプト出身のムハンマド・ハニーさん(43)。
ドラマ「おしん」を見て、日本が好きになったという。2005年に、愛・地球博でエジプト館のスタッフとして来日した。
ハニーさんは語学学校の講師や翻訳の仕事をしているが、コロナの影響で、2019年からの3年間、故郷に帰ることができていない。
エジプトのお母さんに家族の写真を贈りたい。娘の来愛(らな)さんと息子のアミールくんの、何気ない日常を撮影した。
ハニーさん：
集合写真を撮るから、お母さんを前にしてみんな並んでください
リモートで、エジプトの家族も参加した。
近所の公園では、日本の着物に着替えて撮影。
続いて、エジプトの伝統的な衣装を着てお祈りも。
最後に向かったのは、常滑市の海岸。
ハニーさん：
故郷を思い出すんだよね。大好き。家族とか友達とか、初恋もナイル川だったし
故郷の思い出。ハニーさんは、常滑の海はどことなくナイル川に似ていると言う。
浅田政志さん：
海外に住むってことは、やっぱりハニーさんの故郷からは離れてしまうわけで、家族と一緒にいられないもどかしさというか、つらさも味わいながら今過ごしていると思うんです
尾張旭市に住む麻生淳子さん(70)。2021年11月、血液のがん「多発性骨髄腫」を発症し、車椅子の生活が始まった。
麻生淳子さん：
どっちかというと私は結構動き回っている方だったので、こういう大ごとになっちゃったんですけど、みんなに支えられながら、孫たちにも力をもらいながらやっています
病気になって改めて感じた家族の大切さ。麻生さんは、36年前の家族の写真をみんなで手にとって家族の成長を撮影し、今回の企画に応募した。
浅田政志さん：
何げない日こそ、やっぱり写真撮るべきテーマなのかなとも思ったりしますので、何でもない日こそ、やっぱり素晴らしい写真が撮れるのかなとも思ったりしますね
続いては家の外へ。手術後に麻生さんが外出するのは、この日が2回目。麻生さんの母、97才の数子さんと、生後4カ月の孫、るかちゃんも一緒だ。4世代が揃った。
浅田政志さん：
これからもっと外に出られたりとか、元気になって色々な所に行ってほしいなという思いも込めて、この思い出の公園で撮れればなと思っていた
浅田政志さん：
まだこれからどんな風に生活が変わっていくかわかりませんけれども、家族のみんなが力を合わせてくれたこととか、私にとって（撮影は）一大イベントでしたので、これからの希望につながると思います
浅田政志さん：
写真って普通、ある思い出をとどめたいから写真を撮るんですよね。それが記念写真だったりするんですけども、こういう撮影をしていると、思い出を残すというよりかは、新しい思い出を作るみたいな作用があって
「みんな揃って元気にゴー！」
「僕の大切な宝物」
写真の中に、家族の物語がある。
（東海テレビ）
