石川県金沢市の隣町、内灘町に「回らない風車」があるという。このまま放置しておいても、負の遺産を残すだけでは?と言う、視聴者からの疑問が寄せられ、調べてみた。

故障で止まったままの風車

秋末械人アナウンサー:
内灘にやってきました。内灘というとこの風車ですけどたしかに動いていないですね。

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石川県内灘町にそびえ立つ巨大な風車。正式名称は内灘町風力発電所だ。ブレードを含めると高さは100mを超える巨大なものだ。

しかし、今は動いていない。町の人に聞くと…?

秋末アナ:
風車が動いているのを見たことはある?
内灘町民:
だいぶ前から止まっている。
内灘町民:
以前は回っていましたよ。だけど、どれだけか前からは止まってますね。

そんな風車に近づいてみると…

秋末アナ:
あ、あります。これで、今の風速だったり、発電機の出力、(風車が)使われていた時にどういう状況なのかというのを示していた訳ですね。もちろん今は、何も表示されていません。

内灘町風力発電所が完成したのは2003年。クリーンエネルギーの象徴として、町が約4億1000万円をかけて作った。

ドイツ製で、年間255万キロワットアワーを発電し、約700世帯分の電気をまかなえるはずだった。

しかし…

落雷などで度々故障。2017年に発電機が故障した後は、止まったままとなっている。

内灘町民:
直すのにすごくお金がかかりそう。維持費が大変そう。税金の無駄かなって感じがするけど町民としてはやっぱりはっきりした(運営の)答えを出してほしい。

「修理」「撤去」「民間譲渡」選択は?

秋末アナウンサーが向かったのは内灘町役場。しかし撮影してのインタビューには応じられないと言うことで、文書で回答をもらった。

内灘町の担当者:
運転停止後、修繕・民間譲渡・撤去についての検討を行っておりますが、方針決定に時間を要しています。

内灘町が検討する選択肢は3つだ。

「修理」の場合…この風車はドイツ製で19年前の製品と古く、部品の調達などを含めると少なくとも1億1000万円かかると言う。

「撤去」の場合…高さ100メートルの巨大風車。撤去するだけでも約2億円かかると言われている。

「民間譲渡」の場合…町によると、問い合わせは数件あるものの進展はないという。

5年以上、止まったままの風車。しかし、点検やメンテナンスだけで年間約800万円の費用がかかっている。さらに風車の耐用年数は約20年。現時点ですでに6億円以上の赤字なのだ。

日本風力エネルギー学会 三保谷明会長:
すでに発電所があるということは、送電設備であるとか変電設備があるわけですから、できればリプレースをしていただくというのが風力に関わる人間としてはお願いしたい部分であります。

黒字に転換させた成功例も

「リプレース」とは建て替えのこと。国内でうまくいった事例がある。それが、北海道の苫前町(とままえちょう)。風車の町として売り出そうと1998年に3基の風車を建てた。

そして、完成から20年以上たった2019年により大きな1台に建て替えた。今では年間3000万円を超える黒字となっている。

苫前町の担当者:
総事業費は10億円かかりました。町民は売電収入が増えたので有意義だと話しています。
記者:
どういう経緯で建て替えた?
苫前町の担当者:
住民の同意というのが風力発電では条件になります。地域に協力してもらわないと継続するのは厳しいです。

内灘町は風車の今後について…

内灘町の担当者:
脱炭素化に向け風力発電のような再生可能エネルギーは必要だと考えています。国の動向を注視しながら方向性を検討していきたいと考えております。

止まったままの風力発電。負の遺産としないためにも町の決断が求められている。

(石川テレビ)

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