神戸市の"団地"の中で、全国初「魚の養殖」がスタートした。なぜ、団地で養殖が行われることになったのか?

“団地養殖”可能にした「水の秘密」

 神戸市垂水区の高台に建つ新多聞団地。およそ100棟が並ぶマンモス団地の一角に登場したのは…

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記者リポート:
こちらの建物、元々は、診療所兼住宅として使われていたのですが、空き部屋になったため、新たに始めたのが、エビや魚の陸上養殖です

部屋の中に作られたのは、なんと養殖場。水槽の中では、小さな「カワハギ」や「ヒラメ」、「バナメイエビ」の赤ちゃん、およそ1200匹が泳いでいる。

UR都市機構などが実験的に始めたものだが、なぜ、海から離れた団地の室内で養殖をすることができるのか。秘密は、水を循環させる装置にあった。

団地でなぜ?養殖が可能

一般的な「陸上養殖」では水槽の水を常に新しいものと入れ替える必要がある。

ところが、この団地の養殖では「完全閉鎖循環方式」という特殊な技術が使われている。

バクテリアで水を浄化し循環させるため、水を交換する必要がない。エサやりや水質管理も、遠隔で行うことができるということだ。

UR都市機構 西日本支社 長野光朗主査:
かなりコンパクトで、街中というか消費者に近い場所で。輸送コストなどの低減を含めた、消費地(に近い)立地というところがメリットかなと思っています

こうした特性を生かせる場所として、今回選ばれたのが「団地」だった。

「空き部屋対策」になることに加え、エサの補充など人手が必要な部分を住民に担ってもらうことで「雇用」を生み出し、養殖した魚を地域のイベントに提供したりして「地域活性化」につなげる狙いだ。

UR都市機構 西日本支社 長野光朗主査:
(居住者が)生き生きと暮らせるような、団地の活性化につなげていければと

団地の住民:
いいことやね、何か始めることはいいこと。エビ食べたい、大きくなったら。あんまり(住民との)交流はないんでね。とりあえず見に行くでしょうね。うれしいです。魚に関わりたいね

UR都市機構は来年度までここで実験的に養殖を行い、全国の団地に広げることも検討していくということだ。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年12月9日放送)

関西テレビ
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