兵庫県で10年前から行方不明になっていたオオサンショウウオが、100km以上離れた滋賀県で見つかった。一体、何があったのか。専門家は、“人的な移動”を指摘する。

3000万年前からほぼ姿が変わらない「生きた化石」

国の特別天然記念物、オオサンショウウオ。世界最大の両生類で、3000万年前からほぼ姿が変わらないことから、「生きた化石」とも呼ばれている。

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水質汚染などの影響で数が大きく減っていて、環境省のレッドリストでは「絶滅危惧2類(絶滅の危険が増大している種)」に指定されている。

オオサンショウウオが1000匹以上生息しているとみられる兵庫県三田市の羽束川では、個体を識別するためのICチップを埋め込んで、保護活動が行われている。

行方不明のオオサンショウウオが10年ぶりに発見

しかし、このうち1匹が2012年から行方不明になっていた。そして、10年たったことし6月、およそ110キロも離れた滋賀県甲賀市の野洲川で、行方不明だったオオサンショウウオが見つかった。オオサンショウウオは、元の川へと戻された。

専門家は、オオサンショウウオが自力でこの距離を移動することはありえないという。

兵庫県自然保護協会 大沼弘一 調査部長:
ここから上流・下流2kmくらいがあの個体の行動範囲。誰かが持っていった人的な移動、それ以外考えられない。持ち帰って飼育したのが逃げたのかもしれませんね

オオサンショウウオは許可なく捕獲したり移動させたりすると法律違反となるが、違反の疑いがある事案は後を絶たないという。

兵庫県自然保護協会 松下紫 副理事長:
かわいいと感じる人も中にはいるでしょうし、珍しい動物を飼いたいっていう欲を持つ人もいますでしょうし。法律で捕獲自体が許可されていないのでやめてほしい

オオサンショウウオは固有種消滅の恐れがあり、無許可で捕獲・放流すると、日本固有種と外来種の交雑の原因になってしまう。

貴重な生き物の保護のためにも、人間のモラルが問われている。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年12月5日放送)

関西テレビ
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