なまっててもいいじゃないか!
この記事の画像(5枚)よく行く近所の蕎麦屋は老夫婦がやっており、いつつぶれるか心配だった。
長い間「店員募集」の張り紙がしてあった。
ある日いつものように「天ざると冷たいお酒…。」と頼むと、見知らぬおばさんの店員が、「お酒は冷やしたの?ジョウオン(常温)?」と、なまりながら聞いてきた。
どうも東南アジアの人らしい。
良かった。店は存続した。
少し位なまっててもいいじゃないか!
出入国管理法が審議入り
外国人の労働を拡大する、出入国管理法改正案が、13日、国会で審議入りした。
自民党内の議論では、保守派からの反対が多かった。
その理由は、
①日本人の雇用が奪われる
② 外国人が医療など社会保障を不正受給する
③ 治安が悪くなる
など。
2番目の社会保障については、自民党の岸田政調会長が、先週のフジテレビ「報道プライムサンデー」で、「母国に残った、外国人労働者の家族への、健康保険適用は困難」との見方を示し、その後政府側も同様の答弁をしており、健康保険法が改正される見通しだ。
リスクは1つずつ「最小化」せよ
つまり外国人労働者の拡大、移民の導入には様々なリスクがある。
しかしそれらリスクを1つずつ「最小化」すればいいのではないか。
スマホがネットに常時つながる社会は非常にリスキーだ。
だからと言ってガラケーだけではもう生活できない。
そしてリスクは最初からゼロにするのではなく、やりながら減らしていくしかない。
うちの近所でも労働者不足は目に見えているのだから、地方ではもっと大変なことになっている。
これまでの国会論戦を聞く限り、すべての野党が反対している訳ではないし、共同通信の世論調査でも賛成が51%で、反対の39%を10ポイント以上上回った。
労働者不足の深刻さは実はみんなわかっているのだ。
無責任に反対しているのは一部政治家とメディアだけかも。
来年を移民元年に
今回の法改正を政府は移民の解禁ではない、と説明している。
実は家族を帯同できて永住も可能な「特定技能2号」については、審査が厳しく、非常に狭き門になるのではないかと見られている。
そういう意味では説明通り、移民の解禁ではない。
でもそれでいいのだろうか。
日本で働いて下さい、でも家族を連れてきちゃダメ、ではいい人材は来てくれないのではないか。
僕はこの「特定技能2号」については要件をもっと具体的に示して、枠を増やすべきだと思う。
そして来年を移民元年だと宣言すべきだと思う。
ただ実態を見ると、たとえば技能実習生も、バイト目当ての留学生も、健康保険や国民年金に加入できる。
留学生は家族も呼び寄せられる。
日本で働く外国人は127万人。
この5年急増し、50万人も増えている。
政府が想定する、今後5年間最大34万人の増加というのは、現実的な数字だ。
つまり、もう日本は移民大国になりつつある。
であれば、移民を受け入れる枠組みは、すぐにでも作らないとだめだ。
日本は“働けない老人だらけの国”へ
日本で今行われている程度の少子化対策では、子供が増えることはない。
一方で医療技術の進歩で、日本人はどんどん長生きになる。
日本はいずれ働かない、働けない老人だらけの国になってしまう。
その時になって、あっ、僕のおむつ替えてくれる人がいない、
と気がついても遅いのだ。
(執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫)