介護士不足の深刻化が社会問題となっているが、福井県の高齢者施設には不足分を補うため、15人のインド人スタッフの手を借りた。
仕事のスキルアップや、日本の文化に溶け込もうとする彼女たち。その1日に密着すると、日本人に負けるとも劣らない丁寧な仕事ぶりがみえてきた。

人手不足補う特定技能制度…日本人と同条件で勤務

まだ夜も明けない午前5時半。暗闇の中から、1台のワゴン車が現れた。
「おはようございます!」と元気よくあいさつし、下りてきたのは、インド人の介護スタッフたちだ。勝山市北谷町にある特別養護老人ホーム「さくら荘」では、15人のインド人女性が介護士として働いている。

――朝早いのは、つらくない?

女性:
はい。でも仕事だから、がんばります

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さくら荘では、介護士不足を解消するため、看護師資格を持つインド人を、特定技能労働者として雇用している。

特定技能制度とは、日本国内の人手不足を補うため、専門の知識や技術を持つ外国人を受け入れる制度。さくら荘のインド人スタッフも、日本人と同じ労働条件で勤務している。母国インドの研修施設で半年間、日本語や介護を学んだ彼女たち。さくら荘で高く評価され、2022年6月に採用となった。

15人のインド人が同じ施設で働くのは、全国的にも極めてめずらしいという。

朝の仕事は、朝食配膳と介助。自分で食事ができない入所者に、名前を呼び掛けながら食事を口に運ぶ。また食事のタイミングで薬を飲ませ、食後は口腔ケアも欠かさない。食事後は一定の時間を待ってから、お年寄りを部屋で寝かせる。

「もう少しご飯が残っています。がんばりましょう」と声をかけるのは、4年間の看護師経験があるレシュミさんだ。

食事介助の合間に洗濯物を運んだり、ベッドを整えたりと大忙し。タブレット端末を使って、利用者が食べた朝ごはんの量の数字を入力する。レシュミさんは介護の仕事に加え、日本語能力を高めたいと努力している。

レシュミさん:
子どもの時から日本の文化が好きだったので、日本に行きたいとずっと思っていた。勝山弁も慣れてないので、がんばります。毎日、少しずつ勉強します

インド人スタッフたちは、お年寄りの水分補給や昼食介助の準備など慌ただしく働き、午前の仕事が終了した。

夢は看護師の先生…「私の学校でも教えたい」

インド人スタッフに昼が来た。もちろんランチはカレーだ。1人1人が前日夜に手作りしたカレーを、弁当として持参している。
この日、鶏肉をメインにしたカレーを持参したレシュマさん。インドから持ってきたスパイスで作ったカレーと、日本のコメで炊いたご飯を少しずつ味わっていく。

日本にもスパイスはあるが、母国のものしか使わない。

レシュミさん:
インドのカレーは辛い。日本のスパイスは違う。ですからインドから持ってきた

午後、インド人スタッフがお年寄りを順番に移動させていった。行き先は浴室。入浴を終えたお年寄りの髪を乾かすなど、手際よく仕事をこなしていく。

お年寄りたちとエプロンをたたむのは、シャンムさんだ。

シャンムさん:
入所者は私の友達です

入所する高齢者:
友達でなく先生だと思っている

シャンムさんは「お年寄りが家族のように接してくれるのがうれしい」と笑顔で答えた。

シャンムさん:
おやつをあげる時、私にも「食べなさい、食べなさい」と言ってくれる。夢は看護師の先生になりたい。ここで学んだことを、私の学校でも教えたい。

午後3時過ぎ、午前5時半に出勤した早番のスタッフが帰る時間となった。この日も明るく仕事を終えた、インド人介護スタッフたち。

遠く離れた異国の地・福井で、仕事や文化などを学び、日々仕事に打ち込んでいる。

(福井テレビ)

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