福井の冬の味覚「越前がに」。11月6日に漁が解禁され、待ちに待ったシーズンが到来した。“冬の王様”の登場に市場やスーパーは連日にぎわいをみせている。ただ、売り場を取材すると例年と違った光景が広がっていた。それは「カニの価格が安い」ということだ。

「越前がに」が豊漁 漁獲制限が問題に

11月18日、市場を取材すると次々とカニが買われていた。

買い物客:
今年はだいぶん安い。今、安いうちに買ってしまった方がいい

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安い買い物ではないだけに、買い物客にとってはうれしい状況が続いている。ただ、現在のお手頃価格は長く続かない見通しだ。

カニの漁獲量は国が県ごとに上限を決めている。今年1年間、福井県内ではオスとメス合わせ341トン取ることができる。しかし11月6日の漁解禁以来は豊漁が続き、11月15日時点ですでに上限の半分に達した。例年、この時期の漁獲量は上限の30%ほどだという。

越前町漁協 南 直樹さん:
水揚げは好調。オスとメス両方が取れることは今までない

豊漁の要因として、漁業関係者は「解禁日から天候に恵まれている」ことや「2013年から始まった資源保護のための漁期制限で資源自体が増えた」ことなどをあげている。

取れ過ぎとなると販売価格が下がるため、漁師にとっては大きな問題となってくる。2023年3月20日までの漁期を通してカニを安定して取るため、福井の漁協は対策を講じた。越前町漁協では1隻あたりの漁獲量を自主的に抑え、県底引き網漁業協会でもサイズの小さいカニが取れた場合は海に戻している。

11月18日、越前町漁協では制限・規制後、初めての競りが行われた。

仲買人:
きょうはちょっと高値。初日と比べると2割くらい高い

越前町漁協によると、この日オスのズワイガニは1kgあたり平年並みの2万円となった。初日は1万4,500円だったことから、4割ほどアップした。

今回の漁獲制限と自主規制を、漁業関係者はどう捉えているのか。

漁師:
1回目2回目は小さなカニがたくさん取れた。それを取り過ぎたのが漁師の失敗

越前町漁協 小倉孝義専務:
カニシーズンは福井県全体の観光、旅館民宿、経済に大きな影響を与える。特に越前町では漁業者だけのカニではないと思っている。特に12月、1月の需要があるときにできるだけ供給したい

今後価格は上昇か

カニを販売する福井市の「ふくい鮮いちば」。山下水産の山下一信社長は「カニの価格は11月21日頃から上がるのではないか」と話す。

山下一信社長:
今水槽にいるカニを週末用に販売する。来週から値段は上がる状況になる。結構つらい

例年12月はお歳暮シーズンもあり、カニの需要が高まる。

山下一信社長:
漁獲規制がかかると、報道があった翌日から駆け込み客が増えてきている。12月入った時にカニがあるかないかとは言えない。ズワイガニはあってもせいこがには微妙。なるべく黄色いタグ付きの越前産をうたいながら販売したいという思いはあるが、安価な他県のカニを少し売り場に置くという方向になっていくのでは

(福井テレビ)

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