秋のくまもとお城まつりの一環で、11月18日に始まった熊本城ライトアップ。国内で数千件のライトアップを手がけてきた照明デザイナーKITA TOSHIさんが今回初めて総合演出を担った。準備から当日までを追った。

熊本のシンボル“熊本城”をライトアップ

お城まつりまであと1カ月に迫った10月19日、1人の男性が熊本城を訪れた。

ーー熊本城は何度目ですか?

照明デザイナー・KITA TOSHIさん:
初めてです。すごいですねこれ。写真はたくさんいただいていたんですけど、実際見てみると地震すごかったんだなと。あれが崩れたんですよ

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照明デザイナーKITA TOSHIさん。世界遺産や国宝重要文化財など、これまで数千件に及ぶ灯りの演出を手がけてきた。

ーー印象に残っているのは?

照明デザイナー・KITA TOSHIさん:
京都の知恩院さんとか平等院さんとか滋賀県の日吉大社さんとか西教寺さんとかそういうのですかね

ーー大事にしていることは?

照明デザイナー・KITA TOSHIさん:
先進のデジタルを組み込むことと、自分でやっぱり作ること、こうやって動いて、それですかね

そんなKITAさんが手がけた中でも、熊本城は特に広い物件。複雑に入り組む城内の石垣や櫓(やぐら)をどう照らすのか。石垣の長さを自らの脚で測り、照明の配置を考える。

照明デザイナー・KITA TOSHIさん:
どこに置いたら効果的かという、お客さんの動線の目線から見たのが一番重要になってくるので、それをどう段階奥行きをつけていくというか、そういうの考えて配置しないといけないので

百戦錬磨のKITAさんの手にかかれば、難攻不落の熊本城も照らすイメージがすぐに湧くのかと思いきや…そうでもないようで。

ーー本番に向けてのイメージは?

照明デザイナー・KITA TOSHIさん:
いやーちょっとまだ頭の中でいっぱい組み立てているんで、今までにない熊本城のライトアップを作らせていただきたいなという思いはあるので、この話はもうちょっとあとにしましょう

それから1カ月後、ライトアップ開始2日前の11月16日、敷設作業が本格化した。

照明デザイナー・KITA TOSHIさん:
あ、倒れてるね、ほんとはこう点になりたいんだけど、点の位置をどこにするかだよね。雲の下にするのか。ちょっとずれてるねどっちにしろ

照明デザイナー・KITA TOSHIさん:
ちょっと右に倒してほしいかな右に。こっちに倒してほしいの、ちょっとだけ、ちょっとだけ、ちょっとだけ。あー行きすぎた

ライトの向きを調整中
ライトの向きを調整中

照明デザイナー・KITA TOSHIさん:
これ無理やり熊本空港の方が「まっすぐ上だったらいいよ」って許可いただけて。国土交通省とか空港とか、しょっちゅうやりとりさせていただいているんで、日本中で

実際に清正公がライトアップしたら…

そして、いよいよ。ライトアップ当日。

おもてなし武将隊口上:
いざ点灯!

夜のとばりが降りると、普段とは違った光で演出された空間が広がる。

【栄華天望ゾーン】
熊本城の美しさと往時の栄華を望む

栄華天望ゾーン
栄華天望ゾーン

【威風堂々ゾーン】
しばらく見納めとなる宇土櫓の姿をみせる

威風堂々ゾーン
威風堂々ゾーン

【天空昇華ゾーン】
熊本城復興のシンボル天守閣と明るい未来への昇華

天空昇華ゾーン
天空昇華ゾーン

復興に携わった人々の思いと清正公など、先人の思いをひとつにつなぐ。

熊本市内から来城の親子(母):
幻想的ですね。いろんな色を使っているのですてきだなと思いました

熊本市内から来城の親子(娘):
サーチライトが雲とかに反射してて、晴れの時はちょっと違う雰囲気なのかなと思ったりして、天気で変わるのはいいなと思いました

照明デザイナー・KITA TOSHIさん:
築城当時の光の色で、実際に清正公がライトアップしたらこんなだったんだろうなと。それとそこから火の国、水の国を経て現代の光という一連の流れを表現しているんで、そこをぜひ見ていただきたい

照明デザイナー・KITA TOSHIさん:
考えている時間が相当長かったんで、半年がかりぐらいで進んでいましたので、そこは思い出深いというか、私の中でも特に印象深い作品のライトアップになりました

築城以降、熊本のシンボルとして鎮座してきた熊本城。
地震の爪痕を残し、復興の象徴でもある名城を、いま先進のデジタル技術を駆使した光のアートが照らしている。

秋のくまもとお城まつり、城あかりは12月4日までで、期間中、午後5時から9時まで行われている。

(テレビ熊本)

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