11月20日に投開票が行われた尼崎市長選挙。大阪以外で初めてとなる公認候補の首長選出を目指した日本維新の会が、またしても敗れる結果となった。

■尼崎市長選は“維新”と“反維新”の一騎打ちに

 現職・稲村和美市長の「後継候補」として、前・尼崎市教育長の松本真(まつもと しん)さんが当選を果たした。

松本真さん(43):
“黄緑色の服”を着た人たちが大量に、朝の日が昇る前からビラを配っていて…われわれは手漕ぎの小さなボートで、相手は軍艦のような感じで

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 今回、松本さんと戦ったのは、地元出身の「日本維新の会」公認候補・大原隼人(おおはら はやと)さん。

日本維新の会 公認 大原隼人さん(44)(11月13日):
私はこの街は変わることができる、そういう気持ちをふつふつと高めております

 「大阪以外」での勢力拡大を目指す日本維新の会。今回の選挙戦では総力をつぎ込み、幹部が何度も“尼崎入り”しました。

日本維新の会 吉村洋文 共同代表(11月13日):
「大原さん、政治経験ないからできないんじゃないか」、そう言われるかもしれません。でも僕もそうだったんです!最初はそうなんです

日本維新の会 松井一郎 前代表(11月18日):
尼崎も一緒になって関西全体で、東京と2極と呼ばれる大都市圏を作っていきたい

日本維新の会 馬場伸幸 代表(11月19日):
私たち維新の会に、一度チャンスを与えていただきたい。1回で結構です。4年間馬車馬のように働くと思いますよ

 一方の松本さんは「無所属」として自民党や立憲民主党、そして稲村市長の全面的なバックアップを受けながら選挙戦を展開した。

 激しい一騎打ちとなった選挙戦の終盤、尼崎市民は…

尼崎市民:
大阪もけっこういろんなことやってきて、IRの誘致とか強行採決されてるんですよね。維新の方針を尼崎に、大阪と同じように持ってこられるのは不安があります

尼崎市民:
正直、政策は今回変わりません。あとはもう維新か、維新が嫌か、その1点ですよ

 迎えた投開票日。結果は、3万票近くの大差で松本さんの当選だった。

松本真さん:
本当に厳しい選挙だったと思います。大きな組織相手の選挙だったので、多くの市民の皆さんに助けていただき、なんとか勝ち抜くことができてほんとに良かったと思っています

 この結果を受けて、吉村共同代表は…

日本維新の会 吉村洋文 共同代表:
敗因はわれわれの力不足、維新の会の力不足だと思います。もう一息まで来ているが、そのもう一息がなかなか難しい

 大阪以外での初の「首長」獲得とならなかった日本維新の会。今後の戦略に、どんな影響を及ぼすのか。

■「日本維新の会」の敗因は

 維新が兵庫県の首長選挙に候補者を立てたのは、今回が5回目だ。

2013年 伊丹市長選挙 敗
2013年 宝塚市長選挙 敗
2021年 宝塚市長選挙 敗
2022年 西宮市長選挙 敗
2022年 尼崎市長選挙 敗

 いずれも当選することができず、今回で5連敗となった。

 今回の選挙戦について、関西テレビ神戸支局の川崎晋平記者は、「維新の強みである改革のフレーズは、市民にあまり浸透しなかった。逆に“維新色”に染まることへの不安を感じた市民もいた」とみている

 維新の敗因について、関西テレビの神崎デスクは…

神崎デスク:
今回当選された松本さんは、現職・稲村市長の後継者というかたちで出ています。今の稲村市政は、中学校の給食無償化や子供の医療費を助成するなど、子育てや教育にかなり力を入れていました。松本さんは稲村市長の真下で教育長をされていたので、稲村市政がこのまま続く方がいいと思っている方が多かったと。一方、維新というのは、現職や今の市政に不満がある人たちに、『身を切る改革』を訴えていくんですけど、今の市政に不満がある人が少なく、なかなか支持を伸ばしにくかったというのがあったと思います

■維新が目指す「統一地方選」での議席増

 「日本維新の会」は、2023年春に行われる統一地方選で、議席を大きく増やすことを目標にしている。

 馬場代表は8月、「現在の1.5倍、600議席確保が目標!達成できなければ、代表の責任を取る」と明言した。

 兵庫県の首長選では5連敗の維新ですが、神崎デスクは「市長選挙と議会選挙では構図が違う」と指摘する。

神崎デスク:
前回の参院選の比例代表総得票数をみると、大阪では圧倒的に維新が強いんです。維新の強さというのは今の大阪の現状を物語っているのかと思いますが。一方の兵庫県もトップは維新ですが、自民との差は少なかった。今回の市長選の構図を見ても、『維新 vs. その他の政党』というかたちだったので、維新に対して他の政党が束になってしまうと、なかなか単独では勝てないという状況があったりします。ただ、あくまでも市長選というのは1対1の構図なので、『維新 vs. その他の政党』となってしまうと苦しいんですが、例えば議会選挙だと各党が候補者を立ててきますので、その中で維新がトップになれれば勝てますし、そういうかたちで、議会選挙と1対1の市長選挙では構図が違うのかなと思います

神崎デスク:
今回の市長選は1対1の戦いということで、個人の力というのが非常に大きかったと思うんですけど、一方維新の場合、議会選挙などで“維新”の名前を重視されることがあって、大阪の府議会議員選挙や市議会議員選挙では、維新から出ているというだけで当選に近づくというのがあります。それがどうなのかという議論はありますが。馬場代表は次の統一地方選で「600議席」を目標にと言っていましたが、ある維新の幹部によると、「750議席」は取れるという自信を見せています。統一地方選がどうなるか、注目です

(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月21日放送)