自宅で、妻を殺害した罪に問われている講談社の元編集次長・朴鐘顕被告(47)の上告審の判決公判が、午後3時から開かれた。最高裁は、懲役11年の有罪とした2審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。

朴被告は、2016年、東京・文京区の自宅で、妻の佳菜子さん(当時38)を殺害した罪に問われている。朴被告は「自殺だった」と無罪を主張していたが、一審、二審ともに「朴被告が殺害した」と認定。懲役11年の有罪判決を言い渡し弁護側が上告していた。

先月、最高裁で開かれた弁論で、検察側は「客観的な証拠から朴被告が佳菜子さんの首を絞めて殺害したことに何の疑いもない」と上告棄却を求めた。これに対して弁護側は「他殺が積極的に推認される事実は全くない。朴さんを4人の子どもの元に早く返してください」と改めて無罪を主張していた。

一方、きょうの判決で最高裁は、2審判決で触れられた「佳菜子さんの顔に血痕がなかった」との指摘について、審理が不十分と判断した。

2審判決では、仮に佳菜子さんの顔に血痕があれば、両手に付着するなどしたはずだが、その痕跡はなかったため、首を絞められた時点で、「意識を失って死亡していた」とした。しかし、最高裁は、そもそも、血痕の有無を判断する証拠は、取り調べられていないと指摘。

さらに「血痕がなかった」ため、自殺ではなく他殺だとした判断は、「2審での証拠の下では、不合理」として、血痕の有無や、「自殺の主張」との関係などについて、高裁で審理をやり直すよう命じた。「佳菜子さんの顔の血痕」については、これまでの裁判で争点とはなっていなかった。

社会部
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