ウクライナ情勢が、重大な局面を迎えている。ロシアの国防相は11月9日、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部ヘルソン州の州都・ヘルソン市を含む地域からの撤退を命じた。あっさり引いたかに見えるロシア。裏には何かの思惑があるのだろうか。

カギを握るヘルソン州

ロシアが一部撤退を表明したヘルソン州は、ウクライナ情勢において大きなカギを握る地域とされている。

この記事の画像(5枚)

ロシア軍は現在、ウクライナ南東のルハンスク州・ドネツク州・ザポリージャ州・ヘルソン州の、地図上に赤で記された地域を支配している。
地図上の明るい緑がウクライナが反撃に出ている地域で、ヘルソン市は、ウクライナ軍が取り返しつつある地域の最前線だ。

 また、ロシア側が2014年から実効支配しているクリミア半島につながる拠点として、多くの専門家が重要視している。

ロシア軍は今回、ヘルソン市に隣接するドニプロ川の南東に撤退した。ウクライナ側ではこの撤退を罠と見る専門家もいるが、ロシア政治を専門とする慶応義塾大学の廣瀬陽子教授は、「撤退表明は士気が大きく下がるのでフェイクとは考えにくい。ロシアが弱っていることは間違いない」という見解だ。

関西テレビの神崎デスクは、ロシア軍の補給の問題を指摘する。

神崎デスク:
ヘルソン市は、ロシア側からはドニプロ川を渡った向こう側にありました。一部の橋がなくなり、補給がかなり厳しかったという話もあります。いったんドニプロ川の南東に兵を引き、態勢を立て直してウクライナ軍を迎え撃ちたいという意図があるのではと言われています。川はある種の防御線になりますので

(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月10日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。