財政難にあえぐ京都市が、新たに庁舎の問題に直面している。現在建設が進められている新庁舎に職員が入りきらず、予算も大きくオーバーする見込みとなっているのだ。一体なぜこんなことが起きているのか、取材した。

建設中の豪華な新庁舎 しかし…

8420億円に上る借金を抱えている京都市。現在、職員の執務スペース不足を解消するため、新庁舎を建設している。

この記事の画像(17枚)

総工費約370億円の中には、“京都の伝統文化をアピールするため”の漆塗りのエレベーター約500万円や、“世界のKYOTOとして国内外のお客さんをおもてなしするため” の茶室約3600万円が含まれている。しかし…

出井龍之介記者:
京都市役所の本庁舎の裏で今、北庁舎の建設が進められています。しかしこれが完成しても、全ての職員が入りきらないかもしれません

これまで京都市役所では、およそ1000人の職員の執務スペースが不足していて、付近の民間ビルに部署を分散させていた。そのテナント料が年間およそ4億5000万円にも上っていたため、この賃料をゼロにすべく、2014年に市役所の建て替えが計画された。しかし…

京都市担当者(2022年8月):
現時点の見込みでは、すべての外ビルを解消して庁舎に移すということは、困難ではないかという見込みを立てております

一体なぜ? 定員オーバー

京都市は計画当初、延べ床面積を倍にして、およそ3000人分のスペースを確保すべく、工事を進めてきた。

しかし、この8年の間に業務の効率化のため、区役所にいた税務・医療衛生・介護の3部門を庁舎に集約することに。

この組織再編の結果、庁舎で勤務する職員の数が当初よりも1000人増え、また新たに1000人の働くスペースが不足しかねない事態になってしまったのだ。

この見通しの甘さに、議会からも厳しい意見が出ている。

京都市議会 津田大三議員:
そんなことで本当に市民理解が得られるんですかね。ご協力いただいた皆さんの思いが例えば踏みにじられるようなことがあっては、本当に大変残念なことだと思っています

他の自治体に比べて狭いと言われてきた会議室などの市議会スペースは、今回の建て替えで広くなる予定でしたが、現状維持の可能性が出てきている状況だ。

京都市議会 田中明秀議長:
スペースが足りないということであれば、議会としましても現状でしっかり議論ができるのか、また、やっぱり整備をしてスペースを設ける必要があるのか。今後は行財政局とも話をしながら検討してまいりたい

このままでは足りなくなる見込みの、市職員の執務スペースについては…

京都市 門川大作市長(2022年11月):
今後ですけども、なお一層区役所の空いているスペース、あるいは公的な施設のスペース、あるいは学校の空き教室等を活用していきます。令和6年度末に(民間ビルの賃料を)全て計画通り解消します

門川市長は民間ビルの賃料4億5000万円を「解消できる」としているが、これには組織再編で必要となる賃料は含まれておらず、新庁舎の完成後、新たに1億7000万円の賃料が発生するとみられる。

市役所の至るところに波紋を広げる、深刻なスペース不足。財政難に苦しむ中で「当初の計画通り」という市の説明に、市民の理解は得られるのか。

誤算続き…新庁舎問題

さまざまな誤算が生じている、京都市役所の新庁舎計画。2014年当時の計画と現在では、収容が必要な職員数、周辺ビルの賃料、総工費などで変更が出ている。

<理想>
職員:3000人収容で業務効率化
周辺ビルの賃料:約4.5億円を削減
総工費:277億円

<現実>
職員:組織再編で合計4000人に
周辺ビルの賃料:引き続き約1.7億円が発生
総工費:プラス100億円

総工費の「プラス100億円」は原材料費の高騰もありますが、“京都ならでは”の事情もあると、関西テレビの神崎デスクは指摘する。

関西テレビ 神崎デスク:
京都の場合は少し掘ると文化財が出てくることがあります。都があり、同じ場所にどんどん建物が建っていったので、地層がある。地下鉄の工事をするときも大変だったようです

誤算の原因は?

もともと京都市役所には、本庁舎・北庁舎・西庁舎があった。しかし耐震性能の不備などで、2014年に庁舎整備基本計画が策定された。本庁舎を改修し、北庁舎と西庁舎を建て替え、新たに分庁舎を作るというものだ。

2014年当時、庁舎で働いていたのは約2000人。その他、周辺のビルで約1000人が働いていた。計画では新たに分庁舎を新築することで、計3000人を全て収容し、職員の業務効率化を図ろうとしていた。

しかし、計画策定から1年後の2015年。組織再編が行われ、区役所などで働いていた職員を庁舎に移動させることになった。その規模が1000人に上ることが後になって判明し、新庁舎は計4000人の収容が必要となってしまったのだ。

ここにきて大きな問題となった新庁舎。関西テレビ京都支局の出井龍之介記者は、「見込みの甘さ」を指摘する。

(Q.庁舎整備を見直すという話にはならなかった?)
出井龍之介記者:

2015年の組織再編の方針が出た後、新築する分庁舎は急きょ、3階建てから4階建てに変更されました。これで少し余裕が出るということだったんですが、組織再編の全容が後になってどんどん見えてくる中で、最終的に1000人増えるということが分かったときには、すでに着工していたという状況だったようです

(Q.賃料については?)
出井龍之介記者:

門川市長は会見で、組織再編で5億円以上の効果が出ていると言っていました。新たに必要となる賃料1.7億円については、この組織再編の中で出てきた金額だとして、当初の4.5億円の賃料はすでに削減できているというような話です。そういう意味で組織再編の有用性を訴えているのですが、ただ、当初の「周辺ビルの賃料をゼロにする」という話からすると、目的は達成されていないように思います

(Q.今回の問題の原因は?)
出井龍之介記者:

とにかく“見込みが甘い”という印象です。組織再編が庁舎整備計画の翌年に出た話なら、新庁舎の整備と共に考えるべきだったと思います。先の見通しや、一緒に進めていくという動きが足りないように感じました

財政難の中、多額の費用をかけて建設している新庁舎。この状況で、京都市民の理解は得られるのか。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月15日放送)