“泳ぐ宝石”とも言われるニシキゴイ。福岡・久留米市のオークション会場には、世界中から多くのバイヤーが訪れ、次々と高額で競り落としていった。なぜ海外で高い人気となっているのか?

コロナ禍で“ニシキゴイ”の需要高まる

川崎健太記者リポート:
久留米市のコイの養殖場にやって来ました。水槽には150匹以上のコイがいて、今からオークションが始まります。品定めをしているのは、外国の方ばかりです

11月11日、久留米市で開かれたのは「第1回九州錦鯉オークション」。日本への入国規制が緩和されたことから、今回は多くの外国人バイヤーが参加した。

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記者:
どれが狙いですか?

バイヤー(スイスから):
あれが素晴らしい。紅白、最高のニシキゴイです

記者:
きょう、168匹いるらしいけど、見ての感想は?

バイヤー(アメリカ・ハワイから):
いやー、全体のレベルが非常に高くて、来た甲斐がある

華麗な姿から“泳ぐ宝石”と呼ばれ、日本を代表する魚でもあるニシキゴイ。今、海外で人気が高く、国内生産の約8割が輸出されているという。

尾形養鯉場・尾形学社長:
コロナで海外からのお客さんが誰も来られなくなった状態になったから、工夫してネットで販売したり、メールで注文取ったりしていたんですね

コロナ禍となっても海外での需要は高く、輸出額は年々増加し、2021年は過去最高の59億円にものぼっている。

このうち、福岡からは24億円と半分近いシェアを誇る。ロックダウンなどで「おうち時間」が増え、家での観賞用として購入する外国人が増えたことなどが背景にある。

輸出先は、やはり「中国」が1位。次いで、インドネシアにベトナム、マレーシア。オランダにイギリス。アジアと欧米、つまり全世界で需要が高まっている。

約3年ぶりの対面式オークション 円安を味方につけ高値で取引

そんな中で開かれた約3年ぶりの対面式オークション。どんなニシキゴイが人気なのか?

尾形養鯉場・尾形学社長:
メジャーなものは、紅白ですね。白字に赤い模様がある紅白、これが一般的

ーー高値が付くのは?

尾形養鯉場・尾形学社長:
体形が基本で、地肌、あと模様、資質。質と言ってもなかなか口で表せない

今回のオークションの責任者の尾形さんが、高値を予想するニシキゴイは?

尾形養鯉場・尾形学社長:
「昭和」という品種で、有名な生産者、その中でも、この大きい「昭和」とか

体長75cm、赤、白、黒の模様がついた「昭和三色」という種類のニシキゴイだ。果たしていくらで落札されるのか?

そして、午前10時。海外バイヤー20人を含む35人が参加する「競り」が始まった。

川崎健太記者リポート:
さあ、オークション始まりました。どんどん値が上がっていきます

開始早々から50万円以上の高値連発で、次々とニシキゴイが競り落とされる。実は、ある「後押し」が、高値の理由となっているのだ。

バイヤー(ベルギーから):
今は円が安いから、当面、いい状況です。きょうの予算は500万円~600万円

急速に進む円安が、日本円で取引されるニシキゴイを買いやすくしていたのだ。

そしていよいよ、高値が予想されていた「昭和三色」のニシキゴイが競りにかけられる。

オークション:
昭和、30万から50万、51万

あっという間に50万円を突破した。バイヤーがどんどん値を上げていく。

オークション:
100万円!

ついに100万円の大台に乗った。そして―。

オークション:
130万円!

香港のバイヤーが130万円で落札。この日1番の高値だ。

約3年ぶりに開催された対面式のオークションでは、全てのニシキゴイが落札された。

尾形養鯉場・尾形学社長:
久しぶりの通常のオークションができて本当に良かったです。皆さんの盛り上がりを肌で感じて、大変うれしく思っています

コロナ禍で需要を伸ばすニシキゴイ。円安を追い風に、今後さらに人気を高めそうだ。

(テレビ西日本)

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