世間ではゲームでの対戦が「eスポーツ」、つまり1つの競技として認知される中、10月に鹿児島県霧島市でeスポーツを“学ぶ”施設が誕生した。
ゲームを学ぶとは一体どういうことなのか。学びの最新事情を取材した。

9月、鹿児島市のイベント会場にeスポーツの体験コーナーが設けられ、ゲームに勝利してうれしそうな表情を見せている子供たちがいた。
子供たちに時折アドバイスをするのは、このコーナーを準備した鹿児島県霧島市の岩元良祐さん(33)。5年前に九州を拠点に活動する「eスポーツ」のチームを立ち上げた。

岩元良祐さん(手前)
岩元良祐さん(手前)
この記事の画像(11枚)

市場規模は拡大 約180億円に到達見込み

そもそも、eスポーツとは「エレクトロニックスポーツ」の略で、いわゆるゲームの対戦をサッカーや野球のようなスポーツと同様に競技としてとらえたもの。
プロの選手は、スポンサーと契約したり大会で優勝賞金を獲得したりして収入を得ている。
その市場規模は年々拡大を続けていて、2021年の国内市場は78億4,000万円。

さらに、2025年には約180億円に到達すると見込まれている。

岩元さんが立ち上げたeスポーツのチーム「Sengoku Gaming」には、現在30人以上の選手が所属していて、スポンサーの数は35社にのぼるという。

また、インターネットを利用して自宅からでも参加できるeスポーツのチームとしては珍しく、福岡市にホームスタジアムを構え、大きな大会に出場するときにはライブビューイングなどのイベントも開催している。

漁協組合長がチーム立ち上げ「正しく学んで」

ゲーム好きが高じてチームを立ち上げた岩元さん。実は、霧島市の錦江漁協の組合長でもある。
2017年、漁の傍ら漁港近くの建物で「Sengoku Gaming」を発足させた。

岩元良祐さん:
ここに(パソコンを)5台並べて、近くのマンションを借りてそこに住まわせて、共同で練習していました

そんな思い出深いこの場所で岩元さんが新たに取り組もうとしていることがあった。

岩元良祐さん:
プロeスポーツチームを運営する中で、(子供たちに)正しく学んでほしいと思ったのがきっかけ

子供たちがeスポーツを“学ぶ”ゲーミングスクールの立ち上げ。

岩元良祐さん:
1人でインターネットサーフやゲームをしても、見つけられる発見は1人分。共同スペースにいると、たくさんの友達から情報や新しい発見が生まれることもある。いいコミュニティスペースになると思う

ゲームを“遊び”ではなく“学び”として捉える発想。
ゲーム学習論が専門の東京大学の藤本徹准教授は、遊びと学びの関係を次のように話す。

東京大学・藤本徹准教授:
学校の勉強だけが「学び」じゃない、大前提として。動物もだが、人間も幼いころから「遊び」を通して「遊び」の経験の中から学んでいく。「何か学ぼう」、「よりうまくなろう」とか、態度を大事にしながら学べる可能性がゲームにはある

ゲームは可能性を選択させるツール

そして10月22日、オープンしたスクールには4人の子供たちが。

岩元良祐さん:
自分の好き・楽しいと思えることを大切にしてほしい。好きの中で様々なスキルを身につけてほしい

「GGスペース」と名付けられたこのゲーミングスクール。GGとは「good game」の略で、オンラインゲームでは「お疲れ様です」といった意味で使われる。
礼節を持ちながら親しみやすい場になるように…そんな思いが込められている。

この日は、チーム対抗で生き残りを目指すゲームに挑戦した4人。
タイピングやプログラミングなどのスキルだけでなく、ゲームを通して、コミュニケーション力や判断力も養おうというのがこのスクールのコンセプト。

ゲームを体験した子供:
楽しかった。力を合わせてゲームしたので(楽しかった)

保護者:
子供たちにとっては大事なスキルの1つかなと思う。ゲームを学ぶと、収入が得られるというのは1つの人生の選択肢で、子供たちの可能性を選択させる中では1つのツールなのかなと思う

岩元良祐さん:
一番は楽しんでもらうこと。楽しんでもらう中で目標を見つけて熱中してもらえれば

かつては、長時間熱中しすぎて怒られることもあったゲームが、これからは子供の習い事として当たり前になる日がやってくるかもしれない。

GG SPACE 問い合わせ先
LINE @711ywbwj
メール info@ggspace.jp

(鹿児島テレビ)

鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。