人口減少などで、全国的に増加している「空き家」。
空き家率が全国6位と高く、防犯や衛生などの面で深刻な問題となっているのが、鹿児島県だ。様々な対策が展開される中、空き家の定額利用、いわゆる「サブスク」が注目されている。空き屋活用の最先端を取材した。

空き家を改造 本格的なお化け屋敷に

霧島市隼人町に2022年夏、新たなひんやりスポットがオープンした。

川路あかり アナウンサー:
お化け屋敷?廃墟感がありますよね。これ本当にお化け出てきますよね!?

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住宅街の一角に、突如現れたお化け屋敷。良い感じに廃れた外観が、一層恐怖心をかき立てる。お化け屋敷が苦手な川路アナウンサーが、恐る恐る中に入ると…。

川路あかり アナウンサー:
えっ…どうしよう、本当に無理だ…

と、早くも涙声に。すると…。

川路あかり アナウンサー:
ギャー、ギャー、ギャーごめんなさい、ごめんなさい!うわー、こっちにもいる!!!

室内に薄暗く明かりが灯り、中からお化けが現れるたびに絶叫する川路アナウンサー。外に出てきた時は、息絶え絶えだった。

息絶え絶えの川路アナウンサー
息絶え絶えの川路アナウンサー

本格的なお化け屋敷だが、実はここ、築30年の空き家を改造したもの。このお化け屋敷を運営するのは、地元で自動車販売業を営む、迫田さん一家だ。キャストのほとんどは、迫田さんの子どもたち。

お化け屋敷を作った 迫田潤一さん:
コロナで本業がダメージを受けて、以前からしてみたかったお化け屋敷をやってみようかなと

最適な空き家が見つかり、自分たちで約1カ月かけて改装したという。

お化け屋敷を作った 迫田潤一さん:
この空き家を初めて見た時、たたずまいが気持ちが悪いというか、ベストマッチングだと思ったというのはありましたね

人口減少などを理由に、全国的に増加している「空き家」。
鹿児島県内も増加傾向にあり、最新となる2018年のデータでは、空き家が16万7000軒。全住宅に占める空き家の割合は19%で、全国6位と高い水準になっている。

空き家は中が見えないため犯罪の温床になるほか、倒壊の危険性や害虫の発生など、放置すると様々な問題が考えられる。
そんな空き家問題を解消しようと、ここ数年「カフェ」や「店舗」など、様々なジャンルでの利活用が検討されている。

そんな中、いま「空き家活用の最先端」とも言える新たなサービスが、話題を集めている。

屋久島にも!月4万4000円で全国230カ所以上に住み放題

ADDress・桜井里子 取締役:
多拠点居住をしたい方のための、住み放題サービス

東京のベンチャー企業「アドレス」が手がけるのは、空き家を改装した「住まい」への住み放題サービスだ。

「住まい」は北海道から沖縄まで全国230カ所以上展開されていて、月々定額の4万4,000円を支払えば、利用者は好きな住まいに好きなだけ滞在することができる。

ADDress・桜井里子 取締役:
コロナになって、社会の変化で、インターネットさえ通じていればどこでも働ける社会になってきたので、そういった方々が使ってくれてだいぶ広がってきています

この会社が手がける「住まい」のひとつが、世界遺産の島・屋久島の北部、一湊(いっそう)地区にある。持ち主が他界し、残された空き家を改装したもので、キッチン、共有スペースに、1部屋1人ずつ3人が滞在できる。

そして、全国にある「住まい」には、建物を管理する地元住民、「家守」という人たちがいる。屋久島で家守を担う馬場貴海賀さんは、利用者を必ず連れて行く場所があるという。近くの港にやってきた馬場さんが指さす先にいたのは…。

家守・馬場貴海賀さん:
ウミガメ!めっちゃ可愛いですよ

自然の豊かさを伝え、地元の人とふれあう機会を作る。家守は、その場所の魅力を伝える案内人だ。

家守・馬場貴海賀さん:
少しずつでも人が入ってきてくれないと集落はなくなってしまうので、一湊の雰囲気を見て一湊の人に会って屋久島を楽しんでもらって、その上で移住したいと思ってもらえればうれしい

増え続ける空き家を、人と地域をつなぐ架け橋として利用し、その場所に新たなにぎわいを生み出したいと、この会社は考えている。

ADDress・桜井里子 取締役:
都市部で育って都市部で働いている。そういった方々がアドレスを通してお気に入りの地域を見つけ、その地域と行ったり来たりしながら関係性を築いて、一つのコミュニティが地方でたくさんできていく…。そんな世界を目指しています

少子高齢化とともに、今後さらに増加が予想される、空き家。ともすればお荷物と捉えられがちな空き家を、逆転の発想で地域の財産にできないか。関係者の模索が続く。

(鹿児島テレビ)

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