岸田政権が、旧統一教会の問題に関して質問権を行使する方針を固めた。注目されている解散命令の請求はどうなるのか? そして、解散するとどうなるのか?

宗教法人としての解散による影響 計り知れず

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岸田 首相:
宗教法人法の第78条の2に基づき、報告聴取質問権の行使に向けた手続きを進める必要があると考えており、文部科学大臣に速やかに着手させます

旧統一教会の組織としての実態を調査するため、行使される見通しの質問権。
さらに岸田首相は、解散命令請求の要件についても言及し、「行為の組織性や悪質性、継続性などが明らかとなり、宗教法人法の要件に該当すると認められる場合には、民法の不法行為も入りうる」と、“民法上の不法行為も、解散命令請求の要件になる”と明言した岸田首相。
政府や与党内では、これにより、解散命令請求に踏み切らざるを得なくなったという見方が広がっている。

利便性の良い場所…旧統一協会所有の土地の固定資産税は?専門家が算定

宗教法人としての解散による影響とは…。取材班は、福岡にある旧統一教会の施設へ向かった。

濱田洋平 記者:
ありました。世界平和統一家庭連合の福岡家庭教会と書かれています

福岡市南区にある、旧統一教会・世界平和統一家庭連合の教会。
一見、教会のようには見えないが、登記簿によると、建物は40年近く前に企業の事務所として建てられ、7年前から旧統一教会が所有している。

濱田洋平 記者:
教会のすぐ近くには、西鉄の高宮駅があって、非常に便利な場所になっています

旧統一教会の建物から西鉄高宮駅までは、徒歩でわずか2分。登記簿によると、所有する土地の面積は約600平方メートルだ。さらに旧統一教会は、久留米市にも教会を所有し、土地の面積は約1200平方メートルに及んでいる。

宗教法人は、信仰のために使用する建物や、土地の固定資産税などが非課税となるが、当然宗教法人でなくなればこれらの優遇は受けられない。

専門家に、路線価などを元に、福岡県内で旧統一教会が所有する土地の固定資産税をシミュレーションしてもらった。

不動産鑑定士・扇 幸一郎さん:
100万円くらいの固定資産税は、年間かかってくると思う。それプラス、建物の固定資産税がかかってくる

シミュレーションの結果、旧統一教会が所有する福岡市南区と久留米市の土地の固定資産税は、毎年約180万円かかるとみられる。さらに、高級住宅街にある東京の本部は、毎年約800万円だ。

宗教法人であるさまざまなメリット 解散すれば受けられず

宗教法人でなくなると、全国で所有する全ての教会の固定資産税を支払わなければならない。さらに、そのほかの非課税措置も一切受けられなくなる上に、多額の献金も課税の対象になる。

そのほかにも、宗教法人であることは、さまざまなメリットがある。

例えば、税金。
お守りなどの販売、固定資産税、挙式などの行為や葬式などの収入、拝観料、宿泊施設の提供などに税金はかからない。もちろん献金についてもそうだ。

その影響は計り知れない、宗教法人としての解散。

宗教法人として解散を…16万人超のオンライン署名も

元2世信者の小川さゆりさんは、宗教法人としての解散は必要不可欠と話す。

元2世信者・小川さゆりさん(仮名):
解散が行われない限り、被害はずっと続いていく。国が宗教法人としてお墨付きを与えていることが問題

小川さんらが発起人となって、10月17日から始めた旧統一教会の宗教法人としての解散を求めるオンライン署名。10月24日時点で、16万人を超える署名が寄せられている。

小川さんは、2世信者のためにも、早く政府に解散命令請求の時期を明確化してほしいと話す。

元2世信者・小川さゆりさん(仮名):
(2世信者が)Twitter上でメールを送ってくれることもあるんですけど、やっぱり未成年の方からの相談の声もあって。つい最近中学生の方から“不登校になってしまって、でも両親が信仰を続けて献金を続けてしまっていて、先が見えなくてすごく悩んでいて、自殺も考えている”という相談があって

10月21日、与野党4党は、旧統一教会をめぐる問題の被害者の救済に向けて、初めて協議会を開いた。いまの国会での救済法案の成立を目指すことで一致した。

今後岸田首相は、旧統一教会の宗教法人としての解散に向けて、どう かじを取っていくのか。

根が深い「統一教会問題」。仮に解散請求に至ったとしても、被害者の救済、関連団体の取り扱い、2世信者の問題など、問題が山積みであることに変わりはない。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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