2022年の冬に警戒すべき、新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行、略して「フロロナ」。厚生労働省は、ピーク時にあわせて1日75万人の患者が出ることを想定していて、重症化リスクの高い人の医療体制を確保したいとしている。
同時流行に対して、どのような行動をすればよいのか。関西医科大学附属病院の宮下修行先生に聞いた。

"同時感染"の脅威 「フルロナ」は何に警戒すべき?

インフルエンザと新型コロナに同時にかかることを、欧米などでは“フルロナ”と呼ばれていて、アメリカやイスラエルなどで確認されているということだ。

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宮下先生は「比較的起きやすい現象」かつ「肺で重症化する傾向」と指摘する。

関西医科大学附属病院 宮下修行教授:
ウイルスはお互いが嫌いあって、同時に流行しないものがあります。反対に、同時に感染する傾向もあります。特に新型コロナとインフルエンザは同時に感染することが分かっています。今年の冬は同時感染に最大限気を配らないといけないですし、同時感染だと重症化しやすいことが判明しています。また、肺胞レベルで炎症を起こすと肺炎を起こしやすくなります

(Q.1日に75万人の感染が想定されるということで、両方感染する人がいてもおかしくないということですね?)
関西医科大学附属病院 宮下修行教授:
一番最初に新型コロナが武漢で流行した時も、インフルエンザが流行していました。その時の「同時感染率」は約50%。半分の方が感染してしまう可能性があります

医療機関のひっ迫緩和策 発熱したらどう対応?

同時流行が懸念される中、政府は医療機関のひっ迫を緩和させる対策を発表した。
重症化のリスクの高い、65歳以上の方や基礎疾患のある方などは、これまでどおり発熱外来の受診を勧めている。
一方でリスクが低い人は発熱した場合、自分で新型コロナの検査をする。
陽性ならこれまでどおり、健康フォローアップセンターに登録して自宅で療養。そして陰性の場合は、オンラインや電話で受診して、インフルエンザと診断されれば、タミフルなどの治療薬が配送されることになる。

(Q.オンラインで、インフルエンザはどこまで診断できるものなんですか?)
関西医科大学附属病院 宮下修行教授:
私ならば診断ができません。いろんな病気が出てきますし。インフルエンザや新型コロナ以外も想定して診療します。そういう時は聴診器、レントゲン、血液検査を行って、その上で診断をするからです

(Q.症状がひどかったら、かかりつけ医にいくことは規制されていないんですよね?)
関西医科大学附属病院 宮下修行教授:

行くことは規制されているわけではないですね

(Q.インフルエンザではないのに、インフルエンザと診断されて、配送されたタミフルを飲んでしまっても大丈夫なんですか?)
関西医科大学附属病院 宮下修行教授:

健康な人がタミフルを飲んでも安全と考えてください。もしインフルエンザであれば、約24時間以内に解熱して症状が良くなります。反対にタミフルを飲んでも熱が続く場合は、違う病気が考えられます。この考え方は診断的治療というものです

(Q.新型コロナに感染した場合、インフルエンザの薬はもらえないんですよね?)
関西医科大学附属病院 宮下修行教授:

そういうことになります。重症化するリスクの高い、65歳以上、基礎疾患がある方、小学生以下は早く抗インフルエンザ薬を投与した方がいいというデータが出ています。一方で健康的な方にも、9%ぐらいの方は重症化するリスクがあります

(Q.やはり一番良いのはワクチンなんですか?)
関西医科大学附属病院 宮下修行教授:
一番いいのはワクチンです。過去にないぐらいの7000万人以上のワクチンが確保されています

また政府は、検査キットと解熱剤は事前購入しておくよう、呼びかけている。

気になるマスクルールのこれから

現状、政府が呼びかけているマスクのルールは、室外では原則不要。十分な距離がとれない場合は、マスクを推奨している。一方、室内では、会話が行われない場合は不要となっている。

関西医科大学附属病院 宮下修行教授:
世界の動きに日本合わせるというのは、感染対策から考えると間違っています。インフルエンザが流行るかもしれない、感染対策はしっかりとるべきです。
ただ流行が終わった後は危険性が少ない。私も屋外では会話がなければマスクをしていませんが、どうやったら感染するのか、そういう考え方をしっかり持ってもらいたいです」

(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月14日放送)

関西テレビ
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