日中、仕事などで保護者がいない小学生を預かる“放課後児童クラブ”。国が定める「放課後児童健全育成事業」として実施されている。利用する児童が毎年過去最多を更新する中、放課後の子供たちをどう守り、育てるべきなのか。県内の放課後児童クラブから考える。

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需要が急増する放課後児童クラブの現状

街の人は:
 両親が共にフルタイムで働いているので、学校が終わって、家で一人でいるのもかわいそうだしということもあって利用しています。

街の人は:
一人で家に置いておくと、どう過ごしているか管理もできないので、学童行ってもらったほうが親としても安心かな。自分たちの親も遠くにいるので、余計に学童を利用しないと…。

街の人は
街の人は

小学校が終わったあと、子供を預かる放課後児童クラブ、いわゆる学童保育…。少子化で子供の数は減る一方で、その学童保育を利用する児童は年々増加している。2021年は約135万人と前の年から約3万7千人増え、過去最多を更新した。

小4男児:
楽しい、宿題と転がしドッジとか外で遊んだりする。

小5女児:
低学年のみんなが妹とか弟みたいで、めちゃくちゃ楽しい。指導員もノリに乗ってくれて、話しやすいからいいところです。

野々市市の菅原小学校の子供たちが通う「すがはらクラブ」。

20年前から、このクラブで働く放課後児童支援員の本さんは…。

すがはらクラブ指導員 本和美さん:
私が入った時は、子供は20人くらい。小さな民家を借りてやっていたので、そこから比べると何十倍となっていますね。

すがはらクラブは、1989年に保護者が集まり作ったクラブで、学童保育が法制化された事もあり、利用する児童はどんどん増えていった。そのため、野々市市は2016年、小学校の隣に新しい施設を建設。現在は、学校に通う児童の3分の1以上にあたる約160人が通っているという。

保護者:
学童のおかげで、いろんな遊びを自然と教えてもらってありがたい。先生と指導員のつながりもあるし、学校の敷地内にあるのは安心です。

保護者:
いろんな学年がいるので上下関係をわかってほしい。大勢の中で、楽しんでいるなと思う。

すがはらクラブ指導員 本和美さん:
放課後という時間も生活の場なので、アットホームで、誰でも気軽に帰ってこれる場所でありたいなと思っています。

顕在化する「待機児童」…金沢市でも

働く親や子どもにとっても欠かせない場となっている学童保育。しかし、そんな学童保育を利用できない「待機児童」が都市部を中心に顕在化している。厚生労働省によると、2021年は全国で1万3000人余りの待機児童が発生した。県内でも去年、金沢市で19人が学童保育を利用できなかった。

子どもの放課後支援に詳しい金沢大学の鈴木准教授は、利用者の増加に対応しきれていない学童保育施設もあると指摘する。

金沢大学 鈴木瞬准教授:
徐々に施設環境が手狭になったり、老朽化してきたりという実態もありますし、指導員1人1人が見る子どもの数が、非常に多い状況で、普段の遊びの場面で、目が届きにくいということが、目立ってきているところはある。

民間の学童保育施設が増える

こうした中で増えてきているのが、公的支援を受けずに、独自で運営を行う民間の学童保育施設。「まなび学童ひびき」も、その一つだ。

野々市市の民間の学童保育施設
野々市市の民間の学童保育施設

まなび学童ひびき 清水加奈子さん:
元々は塾をしていて、もう少しお子さんとかかわる時間密になる時間があればいいかなと…。成長する姿を見ていきたいという思いで、徐々に学童になっていきました。

この学童保育施設では、元々、塾だった強みを生かし、元教師が宿題や自主学習をサポートするなど子供たちの学習に力を入れている。

まなび学童ひびき スタッフ:
ふゆちゃんはいますか?ピアノお願いします。

取材中、2階で始まったのは、ピアノ講師によるレッスンだ。

この施設では、英会話レッスンやプログラミングなど様々な習い事を用意している。そのほとんどが学童の利用料金のみで、学ぶことができるのだ。

まなび学童ひびき 清水加奈子さん:
たくさんのことを経験し、チャレンジしていただいて、成長していただいたらいいかなと…。たくさんの友達もいるので、コミュニケーション力もついていくのかなと思います。

子供は:
楽しい。わからないことがわかるようになる。

保護者:
英語だけやってます。なかなか仕事をしていると、習い事に行かせる時間がないので、学童の時間の範囲で学ばせてもらえるのはありがたいサービスだと思います。

保護者:
ピアノが好きで、それも無料でレッスンができるということだったので、やりたいということでやらせています。

まなび学童ひびき 清水加奈子さん:
施設中に子どもたちの声が「ひびき」わたっている。子供たちの成長する姿を見れて、私たちもパワーをもらっています。

変化する放課後の子供たちへの支援

高度経済成長期の「かぎっ子」から始まり、時代とともに変化してきた放課後の子供たちへの支援。金沢大学の鈴木准教授は…。

金沢大学 鈴木瞬准教授:
コロナ禍で一斉休校が生じました。その際、学童保育が学校に代わる子供の居場所として、なくてはならないものであると社会的に認知されたと思います。学童保育は公設であれ、民設であれ、子供や保護者とともに、放課後児童支援員が一緒になって、子供の放課後の「遊びや生活を創り出していくこと」を、真ん中に置いて取り組みをしていかなければなりません。

共働き世帯の増加で、今後さらに需要が高まるとみられる学童保育。子供の成長を一番に考えた居場所づくりが求められる。

(石川テレビ)

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