世界の厳しい環境で暮らす子供たちの支援を続ける「FNSチャリティキャンペーン」。
2022年の支援国は、アフリカの最貧国、モザンビーク。
雨季にはサイクロン、乾季には「水が足りない」という“極端化”する気候変動に翻弄される子供たちを、堀池亮介アナウンサーが現地取材しました。

モザンビークを襲う深刻なサイクロン被害

この記事の画像(40枚)

2022年3月、モザンビークをサイクロンが襲いました。
このサイクロンの影響で63人が死亡。モザンビークでは近年、毎年のようにサイクロンが上陸し、深刻な被害に悩まされています。
2019年には、わずか1ヶ月半の間に2つのサイクロンが直撃し、1000人以上が犠牲に。“南半球史上最悪”と言われる被害を受けたのも、モザンビークでした。

人口の6割以上が1日約320円以下で生活する、「世界最貧国」の一つでありながら、「世界で最も気候変動リスクが高い国」の一つでもあるのです。

取材班が訪れたのは、首都マプトから北に約1500キロ離れた、マグマノ集落。海に面するこの地域は、3月にサイクロンが直撃する被害を受けました。

屋根が崩れ、途端が剥がれたままになっている家
屋根が崩れ、途端が剥がれたままになっている家

屋根は崩れ、トタンが剥がれたままの家。根元から折れてしまった木など、サイクロンの爪痕が至る所に残っています。

木は根元から折れてしまっている
木は根元から折れてしまっている
屋根が飛ばされたままの小学校
屋根が飛ばされたままの小学校

小学校を訪れてみると、屋根はサイクロンで飛ばされたまま。半年経ってもまだ、修復されていません。この教室で子供たちは炎天下の中、授業を受けていました。

頭上には屋根代わりのシートが吊されていましたが、教室全体を覆うことはできていません。

バッグを頭に乗せ、日差しを防ごうとする子どもの姿もありました。

少女・チーチャンとの出会い

小学校で堀池アナウンサーが出会ったのは、熱心に教室を掃除する少女・チーチャン(10)、小学3年生です。入念に掃き掃除を行っていましたが、屋根がないため風が吹きこみ、教室掃除だけでも一苦労です。

「学校はどうですか?楽しい?」と声をかけると、少し緊張気味に「学校は好き」と答えてくれました。

そんなチーチャンの家も、サイクロンで大きな被害が…。

バオバブの大木が倒れ、家が破壊されてしまった
バオバブの大木が倒れ、家が破壊されてしまった

サイクロンによる突風と雨でバオバブの大木が倒れ、家が壊れてしまったのです。

そのときの様子を「すごく風が強かったのを覚えています。とても怖かった」と話すチーチャン。

今は土壁の家を建て直して暮らしています。

しかしチーチャンの父親は、次にサイクロンが来た際は、「絶対に耐えられないと思います」と言います。

サイクロン被害の爪痕とチーチャンの生活

チーチャンがバケツを頭に抱え、母親と向かったのは、直径1mを超える地面に掘られた穴。

穴の底にはわずかな水がありました。

この地域には水道が通っておらず、この穴から染み出てくる水が、命をつなぐ水なのです。
しかし水は薄く濁り、表面には木くずなどの細かなゴミが浮いています。

衛生面以外にも、大きな問題が…。

チーチャンの母・ベリーニャさん(40):
ここに来てもすぐに十分な量の水は取れないので、長いときは1日待つこともあります

水くみを始めた時には穴一面を覆うくらいあった水も、バケツ2つ分をくんだ後には、穴の底の半分以上が見えるほどに。この地域に住む150世帯全ての人たちが、ここの水に頼らざるをえない状況だといいます。

この日は、本来必要な量の半分、バケツ2つ分しか水をくむことができませんでした。

モザンビークでは、過去42年間でサイクロンが26回上陸している一方で、干ばつも15回発生。どちらも頻度と強度が増し続け、「極端化」する気候変動に苦しめられているのです

別の日、チーチャンに出会ったのは、この地域にあるもう一つの水くみ場。チーチャンは腰を大きく曲げながら、小さな体で懸命に水をくんでいきます。

バケツいっぱいに水をくみ終わったところで、堀池アナウンサーに通訳の女性が「お風呂に入りたいから服を脱ぐかもしれないので」と声をかけ、取材班はいったん取材を止めて下がりました。
チーチャンが水くみをしていた場所は、この地域の人たちにとってお風呂場代わりだったのです。

こちらの水くみ場は、量はありますが、色も濁って汚れています。しかし、水道もなく、水も少ないこの地域では、その水ですら貴重です。
男の子だけでなく、女の子もここで体を洗うといいます。
10歳のチーチャンも、学校がある日はこの場所で身体をきれいにしてから登校していました。

チーチャンは水浴びを終えると、ここでくんだ10リットルの水を頭に抱え自宅へ。
家ではこの水を使って食器洗いなど、家事の手伝いをするのが日課。食器洗いを終えると、主食となるキャッサバ芋の皮むきもチーチャンの仕事です。

堀池アナウンサーも手伝いをさせてもらいましたが、苦戦する堀池アナウンサーに対して、慣れた手つきで皮むきをこなすチーチャン。

そんなしっかりもののチーチャンですが、まだ10歳の女の子。弟たちと遊んでいるときは子供らしい笑顔を見せます。

チーチャンは、今の生活をどう思っているのでしょうか。

堀池アナウンサー:
水くみはどんなことが大変かな?

チーチャン:
毎日毎日くみに行くのが大変

堀池アナウンサー:
水をくむ必要がなかったら、どんなことに時間を使いたいですか?

チーチャン:
勉強がしたいです

水くみではなく、もっと勉強がしたいというチーチャン。彼女には「先生になりたい」という夢があるといいます。

気候変動に翻弄されながらも、夢を持って前を向く少女の生活は、きょうも続いています。

「FNSチャリティキャンペーン」募金のお願い

「FNSチャリティキャンペーン」では、モザンビークの子供たちのために皆様からの募金をお願いしています。
募金は、銀行振り込みのほか、クレジットカードなどもご利用いただけます。
詳しい募金の方法については、FNSチャリティキャンペーンHPをご覧ください。

【FNSチャリティーキャンペーンHP】
https://www.fujitv.co.jp/charity/

皆様からの募金は、ユニセフ・国連児童基金を通じ、モザンビークの子供たちを支援するために活用されます。皆様からのご協力とご支援を心よりお待ちしております。

そして、フジテレビフラワーネットでは、モザンビークの子供たちを支援する特製ブーケの販売を始めました。購入代金のうち500円がユニセフを通じて寄付されます。
詳しくはフジテレビフラワーネットのHPをご覧ください。

【フジテレビフラワーネットHP】
https://www.fujitv-flower.net/

(めざまし8 10月18日放送)