清涼飲料の空き容器を回収する目的で、自動販売機の横に設置されている「リサイクルボックス」。この中に、缶やペットボトルなどの空き容器以外のゴミが入れられていて、いっぱいで空き容器を入れることができなかったという経験があるのではないだろうか。

一般社団法人 全国清涼飲料連合会によると、ゴミなどの異物の混入が約3割で、「街のゴミ箱」になっているのがリサイクルボックスの現状のようだ。

リサイクルボックスにゴミが混入している状態(提供:全国清涼飲料連合会)
リサイクルボックスにゴミが混入している状態(提供:全国清涼飲料連合会)
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こうした中、全国清涼飲料連合会と日本自動販売協会は9月29日、清涼飲料の自動販売機の横に設置されているリサイクルボックスを、ゴミなどが混入しにくい新たなタイプに変更すると発表した。

新たなリサイクルボックスは、空き容器の投入口が見えにくくなるように下向きに設計。投入口の口径は80ミリと小さくし、異物の混入を抑えられるようにしている。

自販機横新機能リサイクルボックス(提供:全国清涼飲料連合会)
自販機横新機能リサイクルボックス(提供:全国清涼飲料連合会)

この新たなリサイクルボックスを業界統一仕様とし、2022年秋から異物混入が多い屋外を優先に、順次展開する。

新たなリサイクルボックスは、2020年に東京都渋谷区、21年に静岡県浜松市・愛知県岡崎市、三重県津市、広島県広島市で実証実験を実施していた。

2021年の実証実験で設置したリサイクルボックス(提供:全国清涼飲料連合会)
2021年の実証実験で設置したリサイクルボックス(提供:全国清涼飲料連合会)

混入する異物は「食品の容器が多いです」

実証実験で、異物の混入はどのぐらい減ったのか? また、投入口が下向きになっているが、飲料の空き容器を入れるのは難しくないのか? 

全国清涼飲料連合会の担当者に話を聞いた。


――自販機“横”のリサイクルボックスをゴミなどの異物が混入しにくいタイプに変更した理由は?

自販機横リサイクルボックスは、清涼飲料の空き容器の回収ボックスですが、中身は、空き容器以外の異物が約3割入っている状況で、「街のゴミ箱」化しております。

異物が入ることで、散乱の原因になることや、回収業務、処理費用の負担増、回収するペットボトルのリサイクルの資源循環の妨げとなる、といったことが業界にとって大きな問題でした。

こうした中、2020年から“脱ゴミ箱化”を目指し、新たな形状のリサイクルボックスを開発し、各地で実証実験を行い、異物混入の削減効果を確認したことから、この新たなリサイクルボックスを業界統一仕様とすることにいたしました。


――混入している異物は、どのようなものが多い?

たばこ関連、酒類の容器、お弁当やコーヒーカップなど、食品の容器が多いです。


――異物が混入しにくくするために、どのような工夫をしている?
   

投入口を下向きに、また、口径を小さくしております。投入口を下向きにすることで、投入口が見えにくく、口径を小さくすることで異物をいれにくい形状になっています。

また、カラーはオレンジにして、「ゴミ箱」感を払しょくしています。さらに、正面の右側に啓発ステッカーを貼り、空き容器以外を入れないよう、お伝えしています。

自販機横新機能リサイクルボックス(提供:全国清涼飲料連合会)
自販機横新機能リサイクルボックス(提供:全国清涼飲料連合会)

――投入口が下向きだが、ペットボトルの空き容器を入れるのは難しくない?

下から空き容器を入れるようになっていますが、普通に入れることができます。

実証実験で「約3割~5割の異物削減を確認」

――2020年と21年の実証実験では、異物の混入はどのぐらい減った?

異物が混入した割合については、約3割~5割の削減を確認できました。異物の混入率は、以下のように減っています。

【2020年の実証実験】
渋谷区:異物混入率33%の削減

【2021年の実証実験】
浜松市、岡崎市:異物混入率54%の削減
津市:異物混入率36%の削減
広島市:異物混入率41%の削減

実証実験で設置したリサイクルボックスの中身(提供:全国清涼飲料連合会)
実証実験で設置したリサイクルボックスの中身(提供:全国清涼飲料連合会)

――22年秋から順次展開するとのことだが、具体的にいつ頃からどのような場所に置かれる予定?

2022年10月中旬以降、異物混入の多い屋外で主に使用し、順次、展開します。



同連合会によると、清涼飲料業界では「2030年ペットボトル100%有効利用」「2030年ボトルtoボトル(=使用済みのペットボトルをリサイクルし、新たなペットボトルに再利用すること)比率50%以上」を目指すことを宣言している。この目標を達成するためにも、新たなリサイクルボックスの設置を進めてほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。