32年の歴史に”幕”…大阪のミニ・シアター「テアトル梅田」

1990年4月のオープン以来、32年以上にわたって関西そして大阪のミニシアターの代表としてキタで上映を続けてきた「テアトル梅田」が、9月30日夜に最終上映を終えた。

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午後4時10分からの最終上映は、片渕須直監督のアニメ映画「この世界の片隅に」。エンドロールが流れ終わると、満席の劇場(シアター1)からは温かい拍手が送られていた。
上映終了後には、片渕須直監督が「テアトル梅田」へのお別れも含めたトークショーが催された。
午後7時すぎ…梅田の片隅で“キラリと光った”映画館は幕を下ろした。

1990年(平成2年)にオープン…梅田・茶屋町のミニシアター

「テアトル梅田」は、1990年(平成2年)4月19日に開館。阪急・梅田駅から徒歩5分ほど、ロフト梅田の地下1階に位置し、2つのスクリーンでオープン。

いわゆるメジャーではなかなか“かからない”上質な洋画や、まだ若手監督の作品やインディペンデントな作品など、様々な映画のラインナップで関西を中心に多くの映画ファンを楽しませてきた。

”のべ2000本以上”の作品上映…興行収入トップ3は?

これまで上映された作品は32年間あまりで、のべ2000本以上…

同館の興行成績1位は「アメリ」(2001年、ジャン=ピエール・ジュネ監督*公開は同館での公開年、以降の作品公開年も)だった。
2位は「トレインスポッティング」(1997年、ダニー・ボイル監督)。当時まだ無名だったユアン・マクレガーの出世作でもあり、関連商品が”よく売れた”貴重な写真も残っている。

3位は、邦画で連続上映日数287日と同館で最長ロングラン上映にもなったアニメ映画「この世界の片隅に」(2016年、片渕須直監督)。

約5年間務めた「最後の支配人」の思い

2017年12月に、「テアトル梅田」支配人として東京から赴任。“最後の支配人”となった木幡明夫支配人は、閉館などについて「なじみのお客さんからは大学の時から通っていた。無くなるのは寂しい…などの声がありました。ある意味、梅田・茶屋町の一つの“文化発信基地”としての役割を担っていたと思います。32年間ご愛顧頂き、ありがとうございました」と話した。

多くのシネマファンから「惜しむ声」…“親子3代”のファンも

最終上映に来た東大阪市の自営業・林さん(47):
1994年に「ギルバート・グレイプ」を観に来た時、“立ち見”でビックリした。以降、映画にハマるきっかけになった映画館でした。1990年代に学生だったんですが、その時から続く映画館が少なくなっていく中、昔を思い出す映画館がまたなくなり、さみしい思いです

箕面市の主婦・長村さん(58):
母が映画好きで、私も映画好きに…ちょうど結婚した年に開館した映画館で、夫婦でよく来てました。一番の思い出映画は、フランス映画の「浴室」でした。娘もこの映画館が好きで、29日に会社帰りに観に行ったそうです。私を映画好きにした母が去年、他界…きょう、一緒に来たかったです

ラスト上映の片渕監督「この劇場で観た映画…“忘れないで”」

ラスト上映の「この世界の片隅に」の片渕須直監督は、大団円の上映に選ばれたことに再び感謝とした上で…

映画監督 片渕須直監督:
32年間にわたって、ここでご覧になった映画は、皆さんの中にずっとあるんだな…それこそが「テアトル梅田」が成し遂げたことだ。これから先も「テアトル梅田」は続くんだな…と思います

「テアトル梅田」は閉館となるが、今後テアトルグループは、大阪駅北側にあるスカイビル内の「シネ・リーブル梅田」に一本化されるということだ。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年9月30日)

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