10月4日で政権発足から1年となる岸田政権。その節目の日に発表したのが、岸田首相の長男・翔太郎氏(31)を首相秘書官に抜てきするというサプライズ人事だった。

総合商社を経て公設秘書に 首相のSNSで司会務める

2021年9月、新総裁になったばかりの岸田首相が「大変めまぐるしく活動を始めております」と話す横にいるのが、長男の翔太郎氏だ。

この記事の画像(12枚)

同月、翔太郎氏は次のように述べている。

岸田翔太郎秘書(当時):
私はこの1年間、父のカバン持ちとしていろんなところに行き、多くの声を聞いてまいりました。

「カバン持ちとしていろんなところに行き、多くの声を聞いてまいりました」
「カバン持ちとしていろんなところに行き、多くの声を聞いてまいりました」

慶応大学出身で現在31歳。総合商社を経て、2年前から父の元で公設秘書を務めてきた。

2022年5月には、父が官邸で取材に応じた際、少し離れた場所から見守っていた。

若くして政治の世界に飛び込み、カバン持ちとして父に仕えてきた翔太郎氏。自らが前面に出たこともある。2021年9月に行ったインスタライブで、翔太郎氏は司会者として岸田首相と裕子夫人にこんなクイズを出題した。

2021年9月に行ったインスタライブ
2021年9月に行ったインスタライブ

岸田翔太郎氏:
2人の初デート場所はどこですか?はい、お願いします。

「忘れた」という岸田首相に対し、裕子夫人は「マハラジャ」と回答。翔太郎氏が「(ディスコの)マハラジャということでよろしいですか?」と聞くと、岸田首相は「そうそう、もうなくなったけど」と笑顔を見せた。

「2人の初デート場所は?」翔太郎氏が岸田首相と裕子夫人に出題
「2人の初デート場所は?」翔太郎氏が岸田首相と裕子夫人に出題

“官邸の心臓部”に起用 党内・野党の反応は

31歳の若さで翔太郎氏が務めることになる首相秘書官室は、いわば“官邸の心臓部”にあたり、岸田首相を朝から晩まで付きっきりで支えるポストだ。福田政権では2008年、息子の達夫氏が起用されたことでも知られている。

岸田首相による今回の大抜てき人事。翔太郎氏の給与はまだ決まっていないということだが、過去には1000万円を超えることもあったという。

この人事について松野官房長官は「適材適所で判断した」と説明。自民党内ではどう見られているのか、この人に聞いた。

自民党 石破茂元幹事長:
総理自身が最も信頼する方、その方が秘書官である。それがご子息ということであって、ご子息だからダメという話にはならない。

「総理自身が最も信頼する方が秘書官である」と答えた
「総理自身が最も信頼する方が秘書官である」と答えた

一方、政府関係者からは「支持率が下がっている。この時期にあえてやる必要があるのかな。あえてやるメリットが全くわからない」との声も。

野党からも「一歩間違うと、公私混同と言われかねない微妙な人事」と疑問の声が上がっている。

岸田首相としては、後継者である翔太郎氏を起用し、若いうちに政治の経験を積ませたい狙いがあるとみられる。

内閣支持率が下落する中での“身内人事”。国民からはどのように受け止められるのだろうか。

(「イット!」10月4日放送)