10月6日からウズベキスタン・タシケントで開幕する、2022世界柔道選手権。
この舞台で4年ぶりの世界王座奪還を誓う選手がいる。
男子66キロ級東京五輪金メダリスト、そして2017年、2018年の世界王者、阿部一二三(あべひふみ・25)だ。
五輪金メダリストの自信
今や柔道界の顔となった若き天才はこう語る。
「柔道界を引っ張って行きたいし、もっと盛り上げて行きたい。たくさんの人に“金ゼッケン”を見てもらいたい」
阿部の言う「金ゼッケン」は、五輪金メダリストのみがつけられる“王者”の証のこと。

去年7月、東京五輪で妹・詩と史上初の兄妹同日金メダルを獲得し、すでに五輪王者としての自信をみなぎらせる。
しかしそのきっかけは、東京五輪よりも前にあった。
「オリンピックの決定戦が終わったあたりから自信がすごくついたかなと思う」
自信を身につけた試合

2020年12月13日、日本柔道の歴史で史上初となった日本代表内定選手決定戦。
同階級のライバル・丸山城志郎との24分間にも及ぶ死闘を制し、代表の切符を掴んだ。
試合後、阿部の流した涙はこの試合の大きさを物語っていた。

「オリンピックでも泣かなかったのに。柔道をやってきて初めて泣いたかもしれないです。試合であんな感情的になることないので。オリンピックよりも自分の中では大きかったかもしれないです」
2017、2018年に世界選手権を連覇。東京五輪でも活躍を期待されていた阿部だったが、2019年に入ると4月の全日本選抜体重別選手権、さらに同年8月の世界選手権と丸山に連敗する。
世界王者の座を許してしまった。
度重なる試練を乗り越えての代表内定には大きな意味があったという。
「成長はやっぱりありましたね。ライバルという存在でオリンピックまで争ってきたので。ここまで気持ちが強くなったのも、たぶん丸山選手がいたからだと思いますし、負けられない戦いだったので、ずっと。そこをものにできたのはすごい自信になりましたね」

誰もしたことがない経験を乗り越え、 金メダリストとなった阿部一二三。
その野望もまた、誰も成し遂げたことのない大偉業だった。
「自分の最終的な目標は4連覇すること。次はパリに向けて、もうそこだけですね」
目指すのは自身の理想とする五輪3連覇のレジェンド、野村忠宏氏を超える“五輪4連覇”だ。
その言葉にはすでに自信が満ち溢れていた。
もう一人の王者
今年の世界選手権には阿部ともう一人の“王者”が出場する。
それが阿部のライバルであり、2019、2021年の世界選手権連覇の現世界王者、丸山城志郎だ。

「一緒に出るのは2019年以来で世界選手権では負けているので、やり返さないといけないなというのは思いますね」
金のゼッケンの阿部に対し、丸山は赤のゼッケン。丸山は、現世界“王者”の証を身につけ畳に上がる。
両者が勝ち進めば、世界一を決める決勝の舞台で“金”と“赤”、二人の“王者”が激突する。

「やっぱり3回目の世界チャンピオンにならないといけないなと思います。 オリンピックチャンピオンになって翌年の世界チャンピオンになる。それでこそ本当に強い選手なのかなと。ここで負けるようだったらダメだと思うし。 “金ゼッケン”をつけているし負けたくないし、勝つだけというかやるだけ」
そう意気込む阿部が見据えるのは、パリでの連覇、そしてその先にある。
一歩一歩、絶対王者への階段を上っていく。
2022世界柔道選手権
10/6開幕!
フジテレビ系列で8夜連続中継!
https://www.fujitv.co.jp/sports/judo/world/index.html