10月6日からウズベキスタン・タシケントで開幕する、2022世界柔道選手権。

その52キロ級で3度目の世界一を見据えるのが、東京五輪金メダリスト・阿部詩(あべうた・22)だ。

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去年の東京五輪では兄・一二三と史上初の兄妹同日金メダルを達成。

今大会は兄妹で、五輪金メダリストの証である「金色ゼッケン」を背負っての出場となる。

「(オリンピックは)初めて経験するくらいの緊張で、こんなに緊張するんだと思いました。
3日前ぐらいから緊張して、向き合えば向き合うほどやっぱり緊張してしまっていたので、なるべく試合のことは考えず、目の前の今やるべきことを一つ一つこなしていくということに意識を向けて生活していました」

プレッシャーに押しつぶされそうになる中、大舞台で自信を持って畳に上がることができたのは、積み重ねてきた「稽古」だった。

「オリンピックまでの道のりはすごく過酷だったので、それが当たり前と言えば当たり前なのですが、きつく苦しい道のりだったので、それを乗り越えた自分がまず誇らしかったのと、そこに自信を持てたのが、優勝できた1番の理由だと思います」

プレッシャーをはねのけ、金メダルを確定させた瞬間、普段は冷静な彼女も我を忘れるほど、喜びを爆発させた。

「押さえ込んでいる途中から、10秒経ったとわかった瞬間に、『あぁ優勝できたんだ』って思って、そこからはもうあまり覚えていないですね。もう頭が真っ白になっちゃって」

燃え尽きてしまった時期…転機となった両肩の手術

5歳から始めた柔道で、詩は人生最大の目標を兄妹で成し遂げた。

しかしその直後は、未来に対して前向きに考えられない日もあったという。

「(燃え尽きた感覚は)やっぱり多少あったと思います。人生最大の目標にしていた東京オリンピックで優勝することができたので、次の目標に向けて『よし、また頑張ろう』ってなるには、時間がかかるというか、燃え上がる気持ちを作りにくいなという感覚は今でもあります」

五輪終了後には高校3年生の頃から違和感を抱えていた両肩を手術したため、4月の選抜体重別は途中棄権を余儀なくされた。

「亜脱臼みたいな感じなんですけど、肩が抜けると2日くらい痛みが続いて。そうなってしまうと3日くらい練習できなくて、そこからまたやり直してと…ずっとそれの繰り返しだった。

テーピングで補強しても、肩がゆるい状態だったので、組み手で引っ張られたときに耐えられなかったり、技をかけられて肩が変な方向に入っていたら飛ぶしかなかったり。指先までしびれたりして、寝られないとかありましたね。(手術することは)ちゃんと自分の柔道に戻れるのかなという不安があったんですけど…」

不安もよぎる中での、両肩手術という決断。

しかしこの手術が、再び彼女を未来へ突き動かすことになる。

「周りのサポートに頼りながらやってきて、今こうして自分の柔道がやっと戻ってきたので、手術して良かったなと今は思います。(手術で柔道から離れた期間)自分の人生において『柔道は欠かせないものなんだな』『自分の生活に充実感をもたらしてくれるのは、やっぱり柔道なんだな』と気がつくことができました。大きな転換というか、肩の不安もなく試合に臨めるのは高校3年生のグランドスラム大阪以来です!」

2年後に迫るパリ五輪へ、詩と同階級の他の選手たちの経歴を比べても、手術後間もない今大会は、必ずしも出場しないといけない大会ではなかったかもしれない。

しかし、ここでもしっかりと2年後のパリ五輪へ向けて歩み出した彼女の決意があった。

「やっぱり私自身、常に代表でトップに立って、トップでい続けたいと思っています。出なくても『パリオリンピックに出られるだろう』とか、そういう1つのちょっとした気持ちで、一気に崖に落ちるようなこともあるかもしれない。気持ちは常に緩めず出場したいなと思いました」

4年前に語った理想像。思い描くあの怪物

詩は、今年22歳。名実ともに世界の頂点に上り詰めた彼女だが、18歳の頃、フジテレビのインタビューで語っていた理想の姿がある。

彼女は当時、「怪物になりたい」と言っていた。

その言葉を振り返り、今と未来の自分自身について、詩は改めて語る。

「その頃よりかはちょっと怪物へのパーセンテージは上がったのかなと思います。あの頃は、まだ40%ぐらいだった。高校生の世界選手権で優勝して、10%ぐらい上がって、今は80%ぐらい。

ずっと井上尚弥選手みたいな、“誰が見ても強い”という、“一言で表せないような”選手になりたいと思っているので、そういう選手になったときに、そう思えるというか。

パリオリンピックで2連覇したときに、圧倒的に勝って、自分で『怪物になれました』と豪語できるように頑張ろうかなと思います」

パリ五輪への新たなスタート

そんな詩にとっての今大会は、世界各国のライバルが“打倒・阿部詩”を掲げ、徹底的に研究し闘志むき出しで挑むことが予想される。

「さらにその上を行く柔道をする、ただそれだけです。相手がどのような柔道をしてきても、大丈夫なようにしっかり稽古を積んで、対応していくだけかなと思います。本当に阿部詩らしく、“これが阿部詩だぞ”という柔道を見せて、優勝したいと思います。

今年の世界選手権、また来年の世界選手権、すべての試合が大事になってくると思いますが、1番は今年の世界選手権が大事。

今年優勝して、今年のグランドスラム東京優勝したら、来年の世界選手権が決定するので、そういう部分でも大切になってきますし、“まだまだトップでい続けるぞ”というのを周りに見せられたらなと思います。

自信は、あります。当日を楽しみにしてください」

2022世界柔道選手権
10/6開幕!
フジテレビ系列で8夜連続中継!
https://www.fujitv.co.jp/sports/judo/world/index.html

記事 258 S-PARK

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