暑い夏もそろそろ終わり、朝晩は秋の気配を感じるようになりました。
秋といえば運動会。
最近では暑さ対策などで春に運動会を実施する学校もあるものの、この数年、コロナ禍で学校生活や学校行事に様々な制約を受けてきた子どもたちが日焼けした額に汗を流しながら興じる姿に、青春を感じます。
運動会の花形といえば、集団演技やかけっこでしょうか。
賛否はあるものの、「順位をつけない運動会」「競争のない運動会」など学校側も児童や生徒の心情を考えて工夫しながら実施しているようです。
今回は「かけっこが嫌で運動会が苦手」という人や、逆に「勉強は苦手だけど運動会だけは頑張る!」といった人、双方を応援します。
山縣亮太選手らも学んだ練習法
100m9秒95で日本記録保持者・山縣亮太選手や、100m9秒98の小池裕貴選手、パラリンピック(ロンドン大会・リオ大会・東京大会)日本代表の高桑早生選手らを輩出した、慶應義塾大学競走部の鹿又理監督にかけっこの練習法を聞きました。

慶應義塾大学体育会競走部・鹿又理監督:
「かけっこ」で足を速くする為のポイントはいくつかあります。これを意識するかしないかで、人より一歩前にいけるかどうか、ずいぶんと変わってきます

スタートのポイント
慶應義塾大学体育会競走部・鹿又理監督:
「ヨーイ・ドン」のヨーイの時に後ろ足を曲げておく。ドンの時は前足だけでなく両足で地面を蹴って前に飛び出す為に後ろの足も曲げておかないと、しっかりと地面を蹴れないからです。

「ヨーイ・ドン」のドンにいかに瞬時に反応するか。
これは誰かに手を叩いてもらうなど、音に合わせてダッシュすることに慣れておかないと、一歩遅れてしまうからです。
ダッシュのポイント
慶應義塾大学体育会競走部・鹿又理監督:
ドンの時はあごを引いて前かがみに。スタート直後の10メートルは、あごを引き前かがみになることで、足の力が地面にちゃんと伝わるからです。

加速走のポイント
慶應義塾大学体育会競走部・鹿又理監督:
手首を意識して早く大きく動かす。手首を振り下ろすイメージで早く大きく動かすことで足も一緒に早く大きく動くからです。
ゴールのポイント
慶應義塾大学体育会競走部・鹿又理監督:
ゴールの先を見て走り抜ける。ゴールラインで終わりではなく、走り抜ける事で、最後まで硬くならずに走れるからです。

最初の10メートル(約1秒)が大事
慶應義塾大学体育会競走部・鹿又理監督:
オリンピックやパラリンピック日本代表の山縣君や小池君、高桑さんも何度も何度もスタートダッシュの練習をしています。最初の10メートルをどう走るか、たった10秒しかないからこそ、最初の10メートル(約1秒)が大事なのです。
そこでリズムを作り100メートルを駆け抜けていくのです。
小中学生の子どもたちも最初のスタートダッシュで前に行ければ、1番になるチャンスだって出てきます。練習によって前回より少しでも速く走れた事。その成功体験が何かの自信につながれば良いと思います。
陸上選手の練習にもヒントが…
慶應義塾大学体育会競走部・鹿又理監督:
さらに上を目指している人は、私たちの練習を見に来てください。私たちの東急東横線日吉駅近くにあるグラウンドには観客席が設置されていますので、色々な練習をしている選手がいます。この練習をやったら速く走れそうだな、というヒントがたくさんありますので、練習を見てみるのも上達への近道かもしれませんよ。
速く走るためのシューズのはき方
慶應義塾大学体育会競走部・鹿又理監督:
最後にもうひとつ重要なことをお伝えします。それは、シューズのはき方です。シューズに足を入れてから、かかとで地面をトントンとたたいてください。

そして、かかとを支点につま先をあげたまま、ひもを締めます。ひもはいつもより少しだけ強めに締めてください。

足とシューズのフィット感がいつもと格段に違うはずです。
このはき方は大人も一緒で、普段のウォーキングやテニス・ゴルフの際も応用できますので、試していただければと思います。
取材を終えて…
運動会や文化祭は学校生活における友達との絆や思い出作りが1番。そしてスポーツも勉強も努力することが大事です。
すべてが得意な人はいません。自分が苦手で相手が得意なことは素直に認めて、逆に自分が得意でも他人が苦手なことがあるという現実に向かい合い、補いあうことが「生涯の友」つくるのに必要なことかもしれませんね。
【執筆:フジテレビ 解説委員 小泉陽一】