アメリカ男子ゴルフの今季のPGAツアー開幕戦は5日(日本時間6日)、ハワイ州で最終ラウンドが行われ、首位からスタートした松山英樹選手が通算35アンダーで優勝した。
その松山選手と、6年間にわたり世界中にツアーを転戦した前エースキャディの進藤大典氏に、日米のジュニアゴルフの育成の違いなどについて聞いた。

松山選手と6年間にわたり世界中でツアーを転戦

今年(2025年度)のアメリカPGAツアー開幕戦で日本のエース・松山英樹が優勝した。アメリカの若きスター、コリン・モリカワと競り合っての栄冠だ。
PGAツアー72ホールの新記録である通算35アンダーというおまけ付き。

ゴルフアナリスト 進藤大典氏
ゴルフアナリスト 進藤大典氏
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その松山選手と6年間にわたり世界中にツアーを転戦した、前エースキャディの進藤大典氏。365日ほぼ毎日選手と生活をともにし、選手の事を最優先に考える日々を送るプロキャディー。安倍元総理とトランプ前大統領の日本でゴルフ外交の際にも同席していた。

その進藤氏に、松山英樹とのタッグを解消した理由や日米のジュニアゴルフの育成の違いなどについて話を聞いた。

松山英樹選手との出会い

(Q.松山英樹選手との出会いのきっかけは?)
進藤氏:

高校(明徳義塾高)・大学(東北福祉大)と同窓でした。年が離れているので勿論、卒業してから高校時代のゴルフ部の監督に紹介された。

(Q.松山選手のバッグを担ぐようになったのは?)
進藤氏:

松山選手が20歳の時に、アジアアマで3連覇がかかった大会です。残念ながら優勝は逃しましたが、試合後のロッカールームで、プロに転向するのでキャディーをやってもらえないかと言われました。

日本とアメリカのゴルフの強さの違いは?

(Q.日米のゴルフの強さの違いは何ですか?)
進藤氏:

勿論、芝質が違うこともありますが、大舞台で闘い勝つための練習を様々な手法で行い、勝ちきる準備をしているのです。

(提供:進藤大典氏)
(提供:進藤大典氏)

進藤氏:
例えば、デビューしてすぐにメジャー2勝したコリン・モリカワ選手は、月に1回はレディースティー(1打目を打つ場所が前方)からラウンドして連続バーディーをとり続けたり、1ラウンド50台(通常はパー72前後)をだす成功を体験する練習を取り入れたりしているそうです。

(提供:進藤大典氏)
(提供:進藤大典氏)

進藤氏:
この成功体験は、総距離が長くなっても大きくは変わらないそうで、脳が成功体験を覚えている。良いイメージを養う練習を普段からしているのが、大舞台で活躍できる準備になるらしいのです。
しかし、最近は世界との垣根も低くなってきたのは事実で、日本代表に選抜されたりすると最新のメソッドで心技体を鍛えられるようになってきています。

松山英樹とともにツアー転戦

(Q.松山選手とPGAツアーに参戦してからはどうだったのですか?)
進藤氏:

松山選手が一番苦労したのは、芝質の違い。アプローチでアメリカの芝に慣れるまで、2年ぐらいかかりました。毎日何時間もアプローチ練習をしていても、2年かかったのです。
ただ、初めて世界ランキングのトップ10に入ったころから、威風堂々というか、存在に迫力が伴ってきた気がしました。
そして、「これまで外国勢に圧倒されてきた日本ゴルフだったのが、松山英樹に圧倒されているのを見た」ときに、なんとも言えない熱くこみ上げてくるものがありました。これが大きなきっかけとなったのです。「日本のジュニア達をこの舞台に立たせたい…。」

世界を目指せる経験を日本のジュニア達に!

進藤氏:
松山英樹選手とともに戦って得た経験は、帰国してキャディーをすると、自分が担当する選手にしかフィードバックできない。もっと多くの人に伝えたい気持ちが強く、世界基準のジュニアの大会を開催しようと、時間がある限り縦横無尽にかけずりまわりました。ゴルフ大会って、めちゃくちゃお金がかかるのです。看板1枚造るのにもすぐに10万円単位で…(苦笑)。
自分が主催者になってみて、ツアーを支えてくださるスポンサー企業やボランティアの皆さまのありがたさを重ね重ね感じています。
※画像は進藤大典氏より提供
【執筆:フジテレビ 解説委員 小泉陽一】

小泉陽一
小泉陽一

フジテレビジョン上席解説委員・危機管理 1991年フジテレビジョン入社。アナウンス室、ニュースキャスター、社会部、経済部、報道番組ディレクター、NY支局、パリ支局長、秘書室、WE編集長を経て現職。メディアリテラシーや時事問題を学生や地域の人々と共に考えるのが最近のライフワーク。