私がお伝えしたいのは「トルコで酒への締め付けによる余波が広がる」です。

エルドアン大統領は、イスラム教で禁じられている酒への規制を強めています。増税などにより2022年だけで6回も値上がりし、価格は2021年の倍に。その影響で違法な密造酒の摘発も相次いでいるんです。

ポイントはこちら。「安い密造酒を飲み、命を落とす人が増加中」注目です。

【注目ポイント・記者解説】

イスラム教では酒は禁じられています。一方でイスラム教徒が多くを占めるにもかかわらず、トルコは酒に対して比較的寛容で、街中でも酒が普通に売られていて、酒を飲む人も多くいます。

しかし、敬虔なイスラム教徒であるエルドアン大統領は、自らの支持層へのアピールも含めて近年、酒への規制を強めています。

その手法は酒類への増税。最近では7月18日にも行われていて、2022年だけで酒類の値上げが6回も行われました。

実際、トルコで広く飲まれる蒸留酒「ラク」(700ミリリットル)は2021年1月時点で175トルコリラだったものが、今は335トルコリラになり、およそ倍の値段になっています。また、一般的なウイスキーも225リラが429リラに、ウォッカは137リラが265リラと全ての酒類の価格が上がっています。

その上、トルコリラの通貨安による物価高で生活が苦しく、酒が飲みたくても飲めない市民が、安い密造酒に手を出しているのです。

密造酒には人体に有害なメチルアルコールを使うことがあり、視力の低下や失明、摂取量によっては死に至ることもあります。密造酒による死者は2020年に92人死亡、2021年は109人死亡していて年々増加している状況です。

当局は密造酒への取り締まりを強化していますが、急激な酒への締め付けが招いている事態との指摘もあります。

(FNNイスタンブール支局 加藤崇)

国際取材部
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