連日、新型コロナの感染者が2000人を超えている石川県。しかも、危機的なのは、50%前後で推移する病床使用率だ。取材を進めると、数字以上に新型コロナ病棟の過酷な現実が見えてきた。
介護必要な高齢患者が増加 負担増すコロナ病床

金沢市の国立病院機構金沢医療センターは2022年8月に入り、救急車の受け入れ件数が普段の1.5倍に達する日が増えた。
この日、新型コロナの病棟に運ばれたのは、高齢者施設で感染した患者だという。

金沢医療センター・看護師:
ベッドに移るよ
金沢医療センター・別の看護師:
おなかの上で手を組んでててね。動くよ…せーの
看護師全員:
よいしょ!
2年半前の第1波から、金沢医療センターのコロナ病棟で戦う北俊之(きた・としゆき)医師は、第7波では高齢者の入院が目に見えて増えていると話す。

金沢医療センター・北俊之 医師:
高齢者施設で熱が出た方、あるいは肺炎を起こした方。あとは、ご自宅で発熱してご飯が食べられなくなって脱水症状が出た方などの搬送が目立ちます
全体の感染者が増加すれば、おのずと高齢の感染者も増えてくる。その結果、医療現場を悩ませるのが、食事や排せつの介助など、介護の負担だ。

看護師:
ご飯食べますよ
高齢患者:
は?
看護師:
ご飯食べますよ!

高齢患者:
ご飯より、おしっこしたい
看護師:
おしっこは、ちゃんと管から出てるからね
療養で日常生活の動作低下も…コロナ回復も入院前の状態に戻るまで負担が
また高齢者の場合は、療養生活によって、食事・排せつ・着替え・入浴などADL(日常生活動作)が低下することも危惧される。
金沢医療センター・北俊之 医師:
入院する前は自分で食べてたのに、食べられなくなったの?
看護師:
療養してる間に、関節が固くなったとかで…。

療養している間に筋力が衰え、食事もままならなくなったケースもあったという。しかし、これは、ほんの一例だ。
金沢医療センター・北俊之 医師:
ちゃんと歩けていた方が、入院している間に足腰が弱ってきて、なかなかベッドから離れることができなくなったり…。リハビリも積極的に行っているんですが、元いた施設に戻れるぐらいの元気になるまでは、時間がかかったりしています

新型コロナから回復しても、入院前の健康状態に戻るまでには時間がかかる高齢者も多い。

金沢医療センター・北俊之 医師:
感染症病棟で仕事をしてくれるスタッフの数にもやっぱり限りがありますので、なかなかマンパワーの面でも苦労しています
感染の不安を抱えながらの看護に加えて、治療や介護で医療の現場の負担は相当なものだ。スタッフの疲労も限界に近づいている。

金沢医療センター・北俊之 医師:
7つの病院を断られて、ようやくうちにたどり着いた方もいらっしゃいました。本当に助けなくちゃいけない患者さんが、助からない可能性があります。
ご高齢の方や持病のある方を救うためにも、とにかく、各自1人1人が感染対策を徹底することが重要だと思います
石川県内では連日2000人以上の感染者が確認され、過去最多の1日7人が亡くなる事態も報告されている(8月30日時点)。行動制限がない今だからこそ、各自の感染対策が重要と言える。
(石川テレビ)