大阪では最高気温35.6度の猛暑日となった8月9日、高槻市の芥川には、水遊びを楽しむ子供たちの姿が。とても気持ちよさそうだ。

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しかし、普段は穏やかな川が、牙をむくこともある。

雨が降っていないのに増水…“上流の天気”に要注意 

警察によると、8月6日の正午過ぎ、雨が降っていないにも関わらず、滋賀・東近江市の神崎川で急激に増水。沢登りツアーをしていたツアー客とガイド、合わせて50人が中州に取り残され、4時間かけて全員が救助されている。

さらにその下流の愛知川でも、川遊びをしていた親子が増水した川の岩の上に取り残され、救助された。

片平気象予報士は「川遊びでは、どこでも起こり得ること」と話す。

片平敦 気象予報士:
特に川の上流で激しい雷雨になってしまうと、その下流では雨が降っていなかったとしても、上流の水が一気に押し寄せて、下流の水位が一気に上がるということも十分あり得るんですね。
当時は大気の状態が非常に不安定で、滋賀県と三重県の県境・鈴鹿山脈の周辺でも発達した雨雲が発生している状況でした。ほんの1時間とか30分前に降った雨が、一気に流れ込んできて増水したということが考えられるかなと

雨雲レーダーを活用して、現地だけでなく、“目的地の上流”も確認するようにしよう。
前日に現地の天気をチェックされる方は多いと思うが、遊んでいる間に現地の上流の天気をチェックすることが、川の事故を防ぐためには有効だ。

川遊び中の水難事故を防ぐ3つのポイント

8月7日、大阪・藤井寺市の大和川で、釣りに来ていた男子高校生が川底に沈んでいるのが見つかり、死亡が確認された。
川の深い所にはまり、溺れたとみられている。

こういった「水難事故」を防ぐにはどうしたらいいのか。
大阪府内を流れる川を実際に見ながら、専門家に話を聞いた。

(Q.ここにも“増水注意”の看板があるんですね)
明治国際医療大学(水難学) 木村隆彦教授:
川に来たときに、標識とか看板を確認した方がいいですね

家族で川に来ていた1歳から小学校3年生までの兄弟も、浅い場所で遊んでいた。

保護者は…:
(子供の)腰くらいの深さの所がいいかなと思って。もう少し上流だったらきれいやけど、流れも激しいし、目が離せなくて

水難事故を防ぐためのポイントを、木村教授に聞いた。

<注意点1:子供目線で深さをチェック→しゃがんで確認を>
木村教授:
大人の目線で見ると、真ん中より向こう側が深くなっているのが分かる。
ところが、座って子供の目線になってみると、全体が浅く見えて、深い所が見えないんです。大人が一緒に川に入って、一番深いところに立って、子供たちを遊ばせるようにしてください

<注意点2:コケなどに注意!→一気に深みに引き込まれる>
木村教授:
この石を触ってみてください。つるつるしてますね。コケや水草が生えていると滑ります。足を乗せたら、つるんと滑るんです。
段差があって徐々に深くなっていく所で滑ると、一気に川の中に引き込まれますので、注意してください

<注意点3:水の濁りをチェック→急な増水を察知する>
木村教授:
都会の川の怖いところは、山で降った雨が一瞬で流れてくる。時間がないんですよ。“濁り水”や葉っぱ・木の枝が流れてくるのは前兆なので、すぐに逃げた方がいい

それでも流されてしまった場合、木村教授は「ういてまて」という、呼吸を確保する方法を推奨している。

木村教授:
一番大切なのは“呼吸を確保する”ことですね。「背浮き」といって、気を付けをするように浮いて呼吸を確保することができれば、溺れて死ぬことはありません。浮いて、救助を待ちましょう」という意味での「ういてまて」です

「ういてまて」を実践するために 川遊びの必須アイテム

川の事故を防ぐための啓発活動などを行う河川財団が着用を勧めているのが、ライフジャケットだ。
子供用のライフジャケットも、ホームセンターなどで3000円ほどで販売されている。
体のサイズに合っていて、肩や股下にもベルトがあり、簡単に脱げないようなものを選んでほしい。

河川財団は、川の中に入らず、川岸などで遊ぶ時も着用することを推奨している。

川遊びの際はぜひ身に着けていただきたいライフジャケットだが、明治国際医療大学の木村教授は「ライフジャケットを着ていても、川に入っていいのは“膝下まで”」としている。
それ以上深い所に行って、ライフジャケットの高さまで水がきた場合、体が浮いて流されてしまう恐れがあるからだ。

また、ライフジャケットのない状態で流されてしまったとき、身近なものが命を救った例もある。
2008年7月、神戸の都賀川で、増水した川に流された小学生ら5人が死亡する事故があった。
この時、背負っていたリュックサックにしがみついていた男児2名が、浮いていたところを救助されている。

夏休みで川遊びを予定している方も多いと思うが、川の事故が相次いでいる。
悲しい事故が起きないように、十分な注意をしてほしい。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年8月9日放送)

関西テレビ
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