チーズの産地といえばどこを思い浮かべるだろうか?沖縄県産の素材を使ったチーズが、国際的コンテストで受賞を重ねて注目を浴びている。どのような人が作ったチーズなのか、取材した。
本場仕込みのチーズはすべて手作り
創業68年の歴史を誇る沖縄市のプラザハウス。地域の人に親しまれるこのショッピングモールで、世界に認められた逸品が誕生した。
この記事の画像(16枚)「チーズが大好きな女性」という名の店、リトルグリークキッチン チーズアニスタ。オーナーのパメラ・アンさんはアメリカ出身で2012年に沖縄に移住した。
女性客:
おいしいです。
チーズアニスタ店主 パメラ・アンさん:
ありがとうございます。
かつてギリシャで暮らしていたパメラさん、店内には現地から取り寄せたワインや食材が並ぶ。工房でチーズを切る本場仕込みのギリシャ風チーズはすべてパメラさんの手製だ。
2022年6月、イギリスのロンドンで開催された地中海料理の審査会に、初めて沖縄県産ヤギミルクを使ったチーズのマリネを出品し、金賞に輝いた。
沖縄で出会った、臭みのないヤギの生乳
チーズアニスタ店主 パメラ・アンさん:
沖縄に2012年に来て、ヤギの声が聞こえて。ずっとヤギミルク探していた
ギリシャ風チーズに適した臭みのないヤギの生乳を追い求めていたパメラさん。嘉手納町の山口栄秀さんが生産するミルクと出会い、理想のチーズが出来上がった。
チーズアニスタ店主 パメラ・アンさん:
素晴らしいの、40年間(の経験ある)上手な方が作っているんです。感謝しています。
地中海料理の本拠地であるギリシャ、スペイン、イタリアなどから1500以上の出品があった審査会で金賞を獲った「ティリー」は、ヤギのフレッシュチーズをハーブとともにオイルで漬けたもの。ギリシャの食卓では毎日のように並ぶ食材だそうだ。
金城わか菜アナウンサー:
まろやかなチーズにオイルがしっかりしみ込んでいて、ハーブの香りもいいです。ヤギの臭みも全く感じないです。
今回、商品の開発には娘のピアさんも加わった。
パメラさんの娘・ピアさん:
(受賞は)驚きました。製造が間に合うかどうか不安で焦って出したものだから、山口さんに金賞を届けられたことがうれしい。
憧れのギリシャからなぜ沖縄に?
パメラさんとピアさんは毎朝、山口さんの農場に通ってヤギや牛、馬の世話をしている。
チーズアニスタ店主 パメラ・アンさん:
なんでヤギたちのミルクが白いのか。沖縄の月桃の葉っぱをあげているから白いんだって、それが勉強になりました。毎日勉強。
探求心の尽きないパメラさんだが、どうして沖縄でチーズを作るようになったのか。2004年に憧れのギリシャに家族で移り住み、現地の風土と料理に魅せられたという。ところがギリシャの深刻な経済危機に直面し、やむなく国外へ出ることに。一家は沖縄へ…。
新天地の沖縄でギリシャ文化を広めたいと、伊計島や読谷村で小さなレストランを開業し、プラザハウスに移転した2020年からはチーズ専門店となり、商品の製造に専念している。
「誰でも食べられる事が一番」夢は世界進出
女性客:
癖がないのはどれ?
パメラさんの息子・ジェレミーさん:
癖がないのは白くて四角い方、ギリシャの伝統的なティリーというチーズ。
女性客:
市販のものより食べやすくておいしかった。
チーズアニスタ店主 パメラ・アンさん:
臭くないと誰でも食べられる、それが一番大事。誰でも食べられる、臭いとか怖いとかの気持ちがないように作りたい。沖縄のヤギミルクでチーズ、ヨーグルト、バター
ギリシャに魅せられ沖縄に導かれたチーズ職人が、沖縄の食の新たな可能性を切り開いている。
チーズアニスタ店主 パメラ・アンさん:
世界進出を目指す?
パメラさんの娘・ピアさん:
イエス!
これまでも、沖縄県産の牛乳を使ったチーズで国内外のコンテストで受賞していて、沖縄でアメリカ人が作るギリシャヨーグルトが世界レベルの認定基準を受けたことで、パメラさんの喜びもひとしおだった。
(沖縄テレビ)