自民党の田村憲久衆院議員(前厚労相、党新型コロナ対策本部座長)は31日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、新型コロナウイルス感染症の流行「第8波」、「第9波」の感染者数は、現在の「第7波」と同じか、それ以上に増えるとの見通しを示した。その見通しのもと、医療機関の負担を減らすため、自治体による検査センターや臨時の医療施設を設置し、感染拡大に備える必要があるとの考えを強調した。

尾﨑治夫東京都医師会長は、コロナウイルスの感染力の強さから、発熱外来と一般外来を分ける必要性を指摘。発熱外来を設けていない医療機関の医師にも、コロナ患者の診療にあたってもらうには、検査センターなどを設置し、そこへ出向く形が望ましいと説明した。

全国知事会長の平井伸治鳥取県知事は、新型コロナ感染者の全数把握の仕組みについて、「医師、看護師、保健衛生当局の相当な負担になっている」と指摘し、「第7波」の収束を待たずに、早急に見直すよう訴えた。「もう我慢の限界だ。保健所も医療機関も倒れてしまう。1日を争う」と強く主張した。

田村氏は「結果的に患者を診られないという話になってくる。なんとかしないといけない」と理解を示した。

以下、番組での主なやりとり。


平井伸治氏(全国知事会長・鳥取県知事):
厄介なのは全数把握をしろということだ。一日22万人、23万人すべて、医師が報告を上げ、その報告を1件1件審査会にかける。もういい加減にしてくれ。皆、怒っている。命を助ける方にもっと時間を使いたいし、戦力を温存したい。厚労省の事務方は、積み上がった数字を見ているだけだ。アドバイザリーボードの基礎データのため、専門家の資料作りのためにやっているのではないかとすら思う。われわれ現場は疲弊しきっている。医師たちは、1件1件レポートを書く必要があり、深夜の作業になる。こういうことを2年半、毎日繰り返してきた。今までは我慢していたが、「BA.5」になったらもう限界だ。すぐにやめてもらいたい。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
指定病院だけでなく、一般外来でもコロナ患者を診られるようにするとの考えについて。

尾﨑治夫氏(東京都医師会長):
今、診療・検査医療機関は頑張って診ている。動線を分け、空間的に、時間的に分けて診ないと、コロナはやはり感染力が強い。今まで接触感染や飛沫感染などと言っていたのに、「BA.5」はエアロゾルの可能性がかなり高いと。普通の外来でというのは、非常に難しい。
今までコロナ患者を診てこなかった医師が診るためには、どこかにセンターのようなものを作り、そこに行って診療してもらうような形でないと診られない。オミクロン株は非常に感染力が強く、一般外来で診るのは現実的に非常に難しい。

田村憲久氏(前厚労相・自民党新型コロナ対策本部座長):
コロナ以外の疾病もいっぱいある。やはりこれは分けたほうがいいというのが前提だ。これ5類にしたからといって、みなが手を上げてくれるわけではない。運用で緩めていくのが正解だ。新規感染者数は、今までは前回の10万人が最大だった。今回もう20万人を超えた。今もう検査できていないので、本来はもっといるかもわからない。第8波、第9波もくるだろう。その時には感染者数は同じ、もしくは、もっと増える可能性もある。そのための体制を組むことを考えれば、はじめのころ、東京で医師会に検査センターを作ってもらった。あのようなものをまずメインで、各自治体にお願いして作ってもらい、そこに医師、看護師に輪番で入ってもらう。そのほうが人員配置はとても効率がいい。それで多くの人を診てもらうようにしないと。一般医療の方に非常に負荷がかかることを考えると、これが常態だという体制を作っておく。各都道府県知事も、第7波で終わりだなどと思っている人はいない。これからも続いていく。そういう体制をつくり、日常生活も動かす、検査もしっかりやる。それから中等症の患者、重症者の患者のために、例えば、中等症なら臨時の医療施設を、配管を通して酸素が吸えるようなものを作る。こういう体制を社会として作っておくことが大事だ。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
輪番制はある意味強制的に動かさなければいけない。地域のクリニック、診療所は保険医で、税金がかなり入るわけだから、今後、診療所を開設するときには、発熱外来の対応を条件にすることも考えなければいけないのではないか。

田村氏:
次の第8次の地域医療計画のなかに、こういう感染症への医師の輪番制での参加を盛り込む。次に向かって各自治体が作ればいいだけの話だ。

橋下氏:
計画をつくりながら、対応しない医師に対しては医師会の権限で強力に指導していくことになるか。

尾﨑氏:
ええ。普段はかかりつけ医と言いながら、こういうときにはうちでは診ないというような現実があるが、それはもうなくさないといけない。そういう体制をきちんとつくっていく。きちっとした体制がとれるように医師会のあるべき姿、会員のあるべき姿をいまいろいろ考えているところだ。

松山キャスター:
陽性者の全数把握を見直すべきかどうかという議論がある。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
全数把握か定点把握か。全数把握が医療機関に与えている影響について、埼玉県の「あゆみクリニック」によると、保健所に届け出る情報の聞き取りと入力に患者1人あたり約15分から20分かかるという。40件、50件だと、職員らが残業して1日約5時間かかるということだ。

平井氏:
医師も看護師も保健衛生当局も相当な負担になっている。感染症法の規定で、もし医師が発生届を出さなかったら50万円の罰則がかかる。もうやらなくていいよ、撃ち方やめ、と政府は責任を持って言わないと、われわれはやめられない。ぜひ、この議論は前倒しでやってもらいたい。もう限界だ。すぐにでも倒れてしまう。1日を争う。第7波が収まってからというようなことが報道されているが、これいつやるのかと言われたら、今だ、今やると。それをぜひお願いしたい。そうでないと、もう保健所も医療も倒れてしまう。

松山キャスター:
今やるべきだと。

田村氏:
将来的な話として残ると思う。なぜか。センターができればバックアップシステムというか、打ち込む人が雇えるから。ただ、現状は言われる通り、コロナを診ているほとんどの診療所等々が寝る時間なしに診療後に作業をしている。(厚労省は)打ち込む量を減らすことに努力はしている。高齢者だけでいいではないかという声もあるが、ハーシス(HER-SYS)に入れないと、本人がマイハーシス(My HER-SYS)にアプリでアクセスができなくなってしまう。症状が悪くなった時の対応がわからなくなってしまうのを、厚労省は非常に心配している。ただ、平井知事が言われる通り、これがネックになっているのは同感だ。なんとかこの作業を減らさないと、本来やらなければいけない作業ができず、結果的に患者が診られないという話になる。これはなんとかしなければならないと思う。

橋下氏:
この緊急状態でバッと号令かけるのは政治しかない。デジタル庁にも頑張ってもらい、入力のところをデジタルでもっと簡素化しながら、データ化する。デジタル庁も頑張ってほしい。

日曜報道THE PRIME
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