7月27日、全国の新型コロナウイルス感染者は、過去最多の20万9694人に。感染が拡大し続ける中、既に都内の薬局では、「抗原検査キット」の品切れが相次いでいることがわかりました。

需要が高まる「抗原検査キット」すでに在庫がない店舗も…

めざまし8が取材したのは、都内の薬局。「抗原検査キット」を求める人が次々と訪れていました。

東京・新宿区のヒジカタ薬局では、郵送などは行わず、対面のみで販売を行っているといいます。27日の時点で約900回分のキットを確保していますが、1日に100キットから200キット分を買い求める人が訪れるので、4~5日程度しか在庫は持たないということです。

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また、東京・豊島区の薬局では、2~3週間前から出荷調整で品切れが続いています。
豊島区で抗原検査キットを販売してきた薬局を取材すると、20店中18店で、在庫がないことが分かりました。

品切れになった理由の一つは、7月22日から始まった、政府の新たな方針。『濃厚接触者の待機期間が原則7日間から5日間に短縮、さらに抗原検査で2日目と3日目の検査で陰性と確認できた場合は、3日目に待機が解除される』というものです。

医療機関でも不足?「キットそのものがないので検査は受けられない」

抗原検査キットが手に入らず困っているという、大阪府に住む女性は…

抗原検査キットが手に入らなかった女性:
先週の金曜日の時点で、夫の会社の同僚のご家族が、コロナの陽性になられたと聞いて。そしたら主人が土曜の夜に発熱し、咳き込みし始めて。私が次に発熱とかし始めて、あっ、もうこれは私もコロナだなと思って

状況的に、自らもコロナに感染している可能性もあると考え、病院で検査が出来るか問い合わせたという女性。しかし病院から、“検査キットそのものがないので検査は受けられない、キットの再入荷の予定もない”と断られたそうです。

さらに、都内の薬局では検査キットだけでなく、自宅療養者の急増などによって、市販の風邪薬が品薄となる事態に。中には在庫がゼロになったものもあるといいます。

こうした状況の中、27日の会見で、日本医師会の松本吉郎会長はこう訴えました。

日本医師会・松本吉郎 会長:
常に現場では、非常に不足感が強い。日本には1億数1000万のキットがある、充分な量があるということをおっしゃっていますけれど、果たしてそれが『実際にどこにどのような状況であるか』ということについて、つまびらかにはされておりません

医療機関でも、抗原検査キットの不足が始まっているというのです。

検査キットは一体どこに…製造体制は強化されるも現場には不足感

医療機関や薬局などで不足し始めているという、抗原検査キット。

静岡県・伊豆の国市にある抗原検査キットを製造する会社「タウンズ」の工場では、7月からすべてのラインを稼働させ、24時間態勢で製造を続けています。「タウンズ」の野中雅貴代表取締役社長は「夜間操業の開始によって、2倍以上の生産が可能になった」と話します。

政府が抗原検査キットの無料配布を決めたこともあり、製造体制は強化されているようです。しかしその一方で、都内の薬局では…

サン薬局ときわ通り店・伊原孝子 薬剤師:
いつ入るかときょうも確認したんですけど、(医薬品の卸売会社から)「申し訳ないですけど」って。卸さん3~4件、もっとかな、お付き合いさせてもらってますけれども、みんな同じ答えですよね

付き合いのある医薬品の卸売会社に依頼しても、全く手に入らないというのです。8月1日にようやく、抗原検査キットが10セットが届く予定だといいますが…

サン薬局ときわ通り店・伊原孝子 薬剤師:
(納品書に)書いてあっても全然定かではない。卸売会社に確認したけど、やっぱり確信ができない、取れないって言われました

なぜ、マスクの時と同じような“あるはずなのに手に入らない”、いわゆる“目詰まり”が起きてしまっているのでしょうか?

複数の医薬品卸売会社に取材すると、「在庫がないということはない。ただ、通常の要望をはるかに超えている」「現状、医療機関への納入をまず優先している。その他、過去に実績のない薬局や、高齢者施設企業からも要請が来るが希望の分の納入ができない」という返答がありました。

26日、後藤茂之厚労相は抗原検査キットの不足の理由として、“薬局などからの発注数が急増したため、一部納品に遅れが出ている。また、特定の製品への発注が偏ったりした場合に、入手が困難な製品が一部流通の過程で生じている等の状況にある”と説明しました。

どうすれば手に入る?自治体ごとの違い

濃厚接触者に限り、東京都では抗原検査キットの無料配布を行っています。
専用のサイトで申し込み、回数は1人当たり4回まで、申し込みから3日後に到着、1日あたりの配布件数の上限は5万キット。
都の担当者によると、ここ最近1週間では上限に近い申込件数があるものの、今はまだ回っているということです。

千葉県でも濃厚接触者などに無料配布を実施しています。
1回の申し込みで1人1個、届くまでの日数は今までは翌々日でしたが、現在は申し込み殺到のため3~4日かかります。申込件数の上限は7月26日までは1日2万キットだったのが、28日から1日上限1万キットに変更になりました。上限が減ったことについて、県の担当者は「配送業者に感染者が出てしまい、配送に影響が出ているため」と答えています。

(めざまし8 7月28日放送)