新型コロナウイルスの第7波に入り、各地で新規感染者が過去最多を更新している。石川県でも連日1500人を超える感染者が報告されているが、他県と同じく行動制限は行われていない。しかし、その陰で後遺症に悩む声が届いている。
当初は軽い症状だと思ったが…
真里奈さん(仮名):
今は倦怠感があって、時々起き上がれなくなったり、咳込みが夜中に出たり。睡眠不足、睡眠障害が起こったりする感じです。
富山県に住む高校3年生の真理奈(仮名)さんが、新型コロナに感染したのは2022年2月。当初は38度の熱がある程度で、インフルエンザよりも軽いと感じていた。しかし…。
真里奈さん(仮名):
1カ月以上は、ほぼ寝たきり状態でした。
感染から1週間後に熱は下がったが、原因不明の倦怠感に襲われた。真理奈さんは近くの病院を受診したが、医師からは「発熱外来で診てもらえばどうか」「うちでは後遺症は診たことがない」など、病院をたらい回しにされる日々が続いた。
そんな中、何よりも辛かったのが…。
真里奈さん(仮名):
最初は仲のいい友達も気遣ってくれていたんですけど、最近では「まだ続いてる」みたいな感じの対応で、面倒くさがられているようで…。
周囲の無理解が真里奈さんを苦しめた。真理奈さんは感染から5カ月がたった今も、強い倦怠感が続いている。
内科や産婦人科、うつを疑い精神科も受診
慶応義塾大学が2022年6月に発表したデータによると、新型コロナの感染後、1年たっても症状を訴える患者は3割を超えている。具体的には「倦怠感」「呼吸困難」「思考力・集中力の低下」などだ。真理奈さんも新型コロナ後遺症と診断された。
加賀市にある「ながたクリニック」は、コロナ後遺症外来を掲げたところ、県外からも多くの患者が訪れるようになったという。
その数は2022年だけで200人以上。この日も後遺症に悩む女性が訪れていた。
ながたクリニック 永田理希院長:
あれからどうですか?
患者の恵子さん(仮名):
本当に良くなってきているんですけど、何か不意に頭痛がするんです。
訪れていたのは県内に住む30代の主婦、恵子さん(仮名)。2022年1月に感染し、症状が治まって4カ月後に突然、ひどい頭痛に襲われたという。
ながたクリニック 永田理希院長:
もう仕事は普通にできていらっしゃる?
患者の恵子さん(仮名):
はい。行ってるんですけど、ちょっと頭が働かない感覚が残っています。しっかり仕事ができているのか、不安は残っています。
ながたクリニック 永田理希院長:
本当は完全に症状が無くなった状態で、徐々にペースを上げていくのが一番の近道だったりもするんですけどね。
恵子さんは近所の内科や産婦人科、うつを疑い精神科も受診したが、原因は不明のままだった。
患者の恵子さん(仮名):
ベッドに横になってからも、ずっと起き上がれない感じでした。「ああ、なんかひどい。でも、やることやらなきゃ」と思うんですけど、頭が働かなくて…。
知人に勧められた「ながたクリニック」でコロナ後遺症と診断され、不安な気持ちが和らいだという。
ながたクリニック 永田理希院長:
後遺症は医学的に検査で出るものではないので、そこが難しいところです。周りに後遺症の人がいないから「そんなの気のせいだよ、精神的なもんだよ」って言われてしまうと、患者さんがさらに苦しい思いをしてしまう。ただですら、後遺症で悩んでるのに…。
求められる行政と医療機関の対応
病院をたらい回しにされる患者がいる現実に対して、石川県の認識はどうなのだろうか。
石川県健康福祉部 永松聡一郎部長:
後遺症患者の数に関しては、現在集計はしておりません。各医療機関から後遺症の患者さんが非常に多いといった声は届いていませんので、現在、患者の数は「それほど多くない」と私たちは認識しております。
後遺症で苦しむ患者は多くないという石川県に対して、永田院長は…。
ながたクリニック 永田理希院長:
一定の流行があった後、タイムラグとして1~2カ月、3カ月後には後遺症を訴える患者さんはぐっと増えてきます。実際、うちにかかってない方で悩んでいる方は、いっぱいいらっしゃるんでないのかと思います。
永田院長によると、後遺症は味覚障害や嗅覚障害より、倦怠感や記憶障害・集中力の低下の方が、回復に時間がかかる印象があるそうだ。県は現在、後遺症を訴える患者の数を把握していない。
永田院長は「検査で異常が出なかった患者をたらい回しにしないよう、開業医や大学病院など様々な医療機関が連携してサポートするべきだ」と提案している。
第7波で感染者が急増する中、後遺症の実態も踏まえた対策が求められる。
(石川テレビ)