うどん、パスタ、パン…食卓の主役ともいえる小麦が今、高騰している。そんな中で、注目を集めているのが、国産。「北海道産」だ。

札幌の隣、江別市の畑に集まったのは、全国のベーカリーのオーナーなど22人。

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北海道産小麦を使用する長崎県のパン店経営者:
壮大な大地で育つ様子や話を聞きたかったし、見たかった

北海道産小麦の使用を検討する札幌でパン店を開業予定の人:
小麦の味も非常に非常に香ばしくて、「小麦らしさ」が出てくる。北海道の小麦を使いたいと思っています

天候不順に円安、ウクライナ侵攻…2割近くも"価格高騰"

北海道産小麦に注目が集まっている理由は"物価高"だ。
日本では、輸入小麦は政府が買い付けて製粉会社に売り渡すというシステムをとっている。

輸入小麦の売渡価格は政府が決めることになっていて、毎年4月と10月に改定される。2022年4月の改定では、前回から17.3%も価格が上がった。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱 利廣 さん:
(2021年の夏に)北米での天候不順によって小麦の収穫が減り、値段が上がったことが要因

永濱さんは、今後も輸入小麦の価格の上昇は続くと危惧する。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト・永濱利廣 さん:
次の(売渡価格の)改定が10月にあるが、3月以降のロシアのウクライナ侵攻や円安の要因が追加される。今のままいくと、4割ほど価格が上がる可能性がある

日本は、ロシアとウクライナから小麦を輸入していない。
しかし、2か国だけで世界の小麦輸出の約4分の1を占めており、国際的な影響は計り知れない。
永濱さんは海外に頼らず"国産の小麦を使う"ことが大切だと話す。
北海道は、小麦の生産量が全国の3分の2を占めている。

品種改良も進み、「ハルユタカ」や「ゆめちから」など、パンに適した小麦の生産が拡大している。 

全国から視察にきたベーカリーのオーナーたちが続いて訪れたのは…

北海道産小麦を製粉する「江別製粉」。
国産小麦に目を向けられるようになってきたと感じているという。

江別製粉・吉田幸慶営業部長:
国産小麦は使いにくいとか、収量が安定しないとかっていう話もあったが、最近では技術も上がって、使いにくいという話はほとんどなくなった。むしろ「こういう粉を作ってほしい」などの要望が増えているので、期待に応えていきたい

モチモチ感は秀逸! 期待高まる"北海道産"小麦

北海道産小麦を売りにするベーカリーもある。
江別製粉から仕入れた「ハルユタカ」や「きたほなみ」などがブレンドされた小麦を使う札幌市・東区のパン屋「KON・GARI」だ。

無添加で身体に優しいとあって、地元の人から人気を集めている。

地元客
生地が無添加で、安心安全に子どもに食べさせられる。生地も、もっちりしていて食べ応えある

地元客
ここのパンを買うようになってから、ほかのお店で買っていない。おいしいのと安心・安全、これが一番です

特に人気なのがカレーパン。

長岡 伶奈 記者:
外はカリっとしているが、中の生地はもちもち。お肉が沢山入っていて食べ応えもある

他にも、道産小麦ならではのもっちりした生地に沢山入ったクルミがアクセントになったクルミパンや、大葉の香りが特徴のハムとチーズのパンなどが人気だ。

KON・GARI・西村奈央店長:
江別製粉の粉をオープン当初からずっと使っています。独自にブレンドをしていただいている粉なので、季節や時期によって配合を変えてもらっていて、安定したパンがいつでも作れるのがいい点。もちっとした感じや引きの強い感じになるので、そういう食感が好きなお客様が多いなと思います

味も魅力的な道産小麦。物価高対策で自給率をあげる大切さが改めて注目される一方で、課題も残る。

輸入小麦の価格上昇で国産も…「米粉の有効活用検討を」

第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣 さん:
輸入小麦の売渡価格が上がると同時に、国産の小麦の値段が上がる仕組み。制度をまず変えて、国産の小麦のみならず、米粉を有効活用すべき。政府がある程度予算を使っても、」自給率を上げることが求められる

北海道が誇る小麦。
物価高に揺れる食卓を支える救世主になるためにも、自給率をあげる仕組みづくりが求められている。

(北海道文化放送)