日本三大祭の一つ、祇園祭のハイライトの”山鉾巡行”は、新型コロナの影響で2020年と2021年は中止になっていたが、2022年は3年ぶりに行われた。
“お稚児さん”に選ばれた11歳が、無事に大役を果たすまでを密着取材した。

祇園祭の初日の7月1日、2022年のお稚児さんが化粧している。
“お稚児さん”に選ばれたのは、小学5年生の岡本善太(おかもと・ぜんた)くん(11)。
初めての化粧に満足げだ。

(Q.自分の顔を見てどう?)
善太くん:

思ったより似合ってた

善太くんは「神の使い」として、山鉾巡行の先頭をいく長刀鉾(なぎなたぼこ)に乗り込み、しめ縄を切るという“大役”を務める。

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お稚児さんとして大役を務めるには、数々の稽古をしなければならない。

善太くんに稚児舞を指導しているのは、長刀鉾保存会 稚児係代表の井尻浩行(いじり・ひろゆき)さん(53)。

稚児係代表・井尻浩行さん:
その時に手をもうちょっと上、奥の方。まだまだまだ。こっから上がる

井尻さん自身も元・お稚児さんで、”先輩”として、20年以上お稚児さんの指導を担ってきた。

新型コロナによる2年連続の中止を経て、井尻さんは、「疫病退散」という祇園祭の意義を見つめ直している。

稚児係代表・井尻さん:
疫病に近いコロナというものの恐怖を目の当たりにしたし、そういうことを少しでも鎮める気持ちは、今までと違って強い気持ちになってます

稽古の合間に善太くんは、弟の弦大(げんた)くん(9)と一緒に、カメラでの”写真撮影”に夢中になっていた。

善太くんと弟・弦太くん:
CMとかに出てきそうちゃう?こんなの?

あ~ピントが合わへん!

今回、弟の弦大くんも、兄が務めるお稚児さんの補佐役・禿(かむろ)務める。

2人とも稽古になると真剣そのものだ。

そして、本番さながらに鉾の上で、刀を持って、“しめ縄切り”も練習した。

しめ縄切りの稚児係:
久しぶりにやった…。すんげ~緊張する。あかん、ブランクがきつい

父の岡本淳平さんが「本番上手にやんねんな?」と話しかけると…

善太くん:
上を目指そうと思う

父・淳平さんが笑いながら「ほんまに?」と聞く。

そして、7月17日、山鉾巡行の当日。
絢爛豪華な衣装を身にまとった善太くんに、稚児係代表の井尻さんが優しく話していた。

お稚児さんが“鉾の上”へ…3年ぶりの巡行を待ちわびる京の街に向かう。

お稚児さんの乗った長刀鉾は徐々に前進し、ついにしめ縄の前へやってきた。

多くの観客が見ている中で、稚児舞を披露…そして、刀を勢いよく振り下ろす!

しめ縄を切りを見事に成功させ、山鉾巡行の始まりを告げた。

23基の山や鉾が練り歩き、3年ぶりに観客を沸かせた山鉾巡行…約3時間の巡行が無事に終わった。
メイクを落とし、大役を終えて安堵した顔を浮かべている善太くん。

善太くん:
思ったよりも稚児舞がうまくできたのでよかったです

稚児係代表・井尻さん:
やっぱり堂々として凛としてるし、やっぱり自覚を持って、ずっと祭に参加してもらえたっていうのはすごく良かったです

大役を終えた善太くんに、夏休みに何がしたいかたずねると…

(Q.夏休みは何がしたい?)
善太くん:

旅行!
(Q.どこに行きたい?)
善太くん:

沖縄!

父親の岡本淳平さんもそれを聞いて、「ご褒美だね」とこたえていた。

3年ぶりに帰ってきた山鉾巡行。
お稚児さんに選ばれた11歳の男の子は立派に大役を務めた。

(2022年7月19日放送)

関西テレビ
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