「白鷺(しらさぎ)城」の愛称で知られる、兵庫県の姫路城。そのお膝元でシラサギが大量発生し、騒音や悪臭の被害をもたらしています。そんな中、姫路市では、街のシンボルでもあるシラサギとなんとか「共生」の道を探る取り組みが行われていました。

街がシラサギだらけ…悪臭やフン被害に「プール占拠」も…

この記事の画像(14枚)

頭上に響く奇妙な音…。街に広がる雑木林の上には、大量のシラサギが。
ここは兵庫県姫路市、「白鷺城」の愛称で知られる世界遺産「姫路城」からほど近い、幼稚園や小学校などが立ち並ぶエリアです。

そこに、体長50センチを超えるシラサギが群れを成しているのです。

近づいてみると、周辺に落ちていたのは“大量のふん”。その臭いなのか、鼻に突くような、独特の臭いがします。
さらに、木々の一角をよく見ると…

奥の木は緑色をしているものの、シラサギが止まっていたとみられる手前は、フンのせいか、一面が真っ白になっています。

これが、住民を悩ませている悪臭の一因なのでしょうか。この雑木林の下を通る道路は、すぐ隣に位置する小学校への通学路になっています。校長に、話を聞きました。

姫路市立手柄小学校・満田誠 校長:
登下校のときに、ちょうど、サギのいる所の下を通ってくる子たちいるんですけれども、やはり、そこを通るときには手で鼻を覆うというような臭いにやっぱり困っている姿をよく見かけます

通学する児童にも影響が出ているというシラサギのフン。通学路だけではなく、学校の駐車場にとめていた車にもフンが…。

姫路市立手柄小学校・満田誠 校長:
赤い車はよく狙われるという冗談もあるんですけれど、実際に何度かかけられたことがあります

また、2021年の夏には、水を飲みに来たシラサギに、プールが占拠される事態も起きました。

小学校のプールを占拠するシラサギ(2021年)
小学校のプールを占拠するシラサギ(2021年)

いったいなぜ、こんなにたくさんのサギが集まっているのでしょうか?鳥の生態に詳しい「日本野鳥の会」の山本裕さんに聞きました。

「繁殖期の影響」 通常の倍のサギが集まる季節

「日本野鳥の会」 自然保護室チーフ・山本裕さん:
ちょうど今、7月だとヒナが生まれて、親鳥が子育てをしている途中でして、8月9月ぐらいまで繁殖する

サギの仲間は繁殖期を迎えると、群れを作って木の上に巣を作り、子育てをします。現場でも、毎年この時期、普段の2~3倍の約600羽ものサギが集まるといいます。
近隣住民は毎年繁殖期のたびに、フンによる被害などで悩まされているというのです。

そんな中、小学校では、こんな取り組みが行われていました。

「共存」をテーマに“シラサギ”について学ぶ機会を

姫路市立手柄小学校・満田誠 校長:
共存できないだろうか、ということで、総合の時間を使って、以前にサギについて生態ですとか、そういったことを調べてまとめて、発表するということを行ったり

シラサギを追い出すのではなく、「共生」をテーマにシラサギについて学んでいるのです。
一体なぜなのか?

それは、ここ、姫路とシラサギの古来からの縁にありました。世界遺産の姫路城も、別名「白鷺城」と呼ばれています。

姫路市の市の鳥は「シラサギ」で、マンホールにもシラサギがデザインされています。

児童たちが授業で作成した大判の紙には、中央に「サギとの共生研究所」の文字が。シラサギと地域との結びつきを調べたといいます。

姫路市立手柄小学校・満田誠 校長:
サギの生態をいろいろ調べる中で、子供たちがじゃあ、できることだとか、どうしたらいいだろうか、っていうことを考えてく

フンや悪臭に悩まされながらも、「街のシンボル」と共生を目指す、地元の人々。自治体も、様子を見守っていくと静観の構えを見せています。

(めざまし8 7月22日放送)