2022年7月4日、西表島沖でカヌーに乗っていた男性が、浅瀬に取り残される水難事故があった。窮地に陥った男性を救ったのは、偶然にも近くを通りかかった一隻のクルーザーだった。
干潮時のみ姿を現すバラス島 ”普段と異なる光景”
小室豊さん:
「助けてください」という声が聞こえたんで、これはもう一大事だなと思って

西表島の沖合3キロメートルの浅瀬に取り残されていた男性を救助した、小室豊さん。小室さんは西表島で、カヤックやシュノーケルなどの自然体験ができるツアーを提供している。
小室豊さん:
その日はサンセットクルーズの予約が入っていまして、11人のお客さんを乗せて、ここの上原港から出港していったんですよね。バラス島くらいまで行くと西表の外側に夕日が沈むのが見えるので、バラス島の近くまで行って夕陽を見るって感じだった

西表島から北に3キロメートルほどの沖合にあるバラス島は、サンゴが堆積してできた地図には載っていない無人島で、干潮時にのみ姿を現し、潮が満ちると島全体が海に沈む。いつも美しい夕日がみられるバラス島だが、この日は少し状況が違っていたという。

小室豊さん:
バラス島の東側のほうにサンゴ礁の浅瀬があるんですね。そこの上に(男性が)ポツンと立っていた。

7月4日午後6時ごろ。男性は西表島の北にあるバラス島近くで、カヌーに乗って釣りをしていた。海底に釣り針が引っかかったため、釣り針を外そうと海に潜ったが、釣り糸が切れてカヌーが波に流されてしまった。

岩場に辿り着くも潮が満ち…海に浸かっていく恐怖
海に取り残された男性はその後、足が着くような岩場に辿り着いたが、携帯電話などは流されたカヌーに乗せたまま。助けを求める手段もなく、時刻とともに徐々に潮は満ち身体が海に浸かっていった。
窮地に陥る男性の目の前に偶然現れたのが、小室さんたちの船だった。
小室豊さん:
「助けてください」という声が聞こえたんで、これはもう一大事だなと思って。すぐその浅瀬に入っていけたので、もうすぐギリギリまで彼がいるところまで船を近づけて、あとは泳いできていただいて。本当すぐですね。

この日、同じ時間帯に現場近くを航行していた船は他になかった。
「海をなめちゃいけない」万全の準備を
小室豊さん:
(救助された男性は)シーカヤックとか慣れていたと思いますし、海の怖さも知っていたと思うんですけど、(その時は)注意事項を守らなかったというか。例えば、ライフジャケットを着ていなかったとか、そういうのが偶然重なって、こんな事故になったのかなと思うので。やっぱり海をなめてちゃいけないんじゃないかなと思いましたね。

男性の命を救った奇跡の救出劇。海のレジャーの際には事故に遭うことも念頭に、あらゆる準備を怠らないことが大切だ。
(沖縄テレビ)