夏の高校野球佐賀大会が開幕。甲子園を目指す球児の中に、たった1人で練習を続けてきた選手がいる。試合への出場はかなわなかったが、マウンドに上がって投げたのは全力の1球だった。

5人いた部員が引退で1人に 情熱をもって

唐津青翔高校野球部に所属するただ1人の部員、古舘哲平くん。

3年・古舘哲平くん:
高校の体験入学の時に野球部が楽しくやっていたので、楽しそうだなと思って入りました。先輩たちがいた時は、練習とか部活動全体が楽しかったです

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6月上旬、夏の佐賀大会の始球式を古舘くんが務めることが決まった。それからは始球式を目標に監督や部長、同級生と練習に励んできた。

3年・古舘哲平くん:
「自分が始球式をやれるんや」と思って嬉しかったです。ワクワクしますし、楽しみもあります

「自分がやれるんやと思って嬉しかった」
「自分がやれるんやと思って嬉しかった」

唐津青翔高校の生徒数は、3学年合わせて163人。入学者は減少傾向で2021年は5人の野球部員がいたが、3年生の引退で古舘くん1人になった。

大串郁人監督:
1人でも本当によく頑張るなという印象。野球に対する情熱が熱いんだなと思いました

1人になってからも合同チームで大会に出場したことがあったが、この夏の大会は合同チームを組む相手が見つからなかった。それを知った県高野連は「高校生最後の夏に思い出を」と、始球式のピッチャー役を古舘くんに決めた。

始球式で古舘くんのボールを受けるのは、5月にサッカー部を引退した坂本竜児くん。

3年・坂本竜児くん:
まともに練習もできないし、1人じゃ寂しいだろうなと感じていました。自分も野球が好きだから、哲平をサポートしようと思いました

3年・古舘哲平くん:
今まで育ててくれた保護者やお世話になった方々に、感謝の気持ちを込めて投げたいと思っています

思い切って腕を振り…3年間を振り返る

当日、球場に到着した古舘くんは少し緊張した様子。開会式が終わり、いよいよ始球式。坂本くんとマウンドに向かうと、スタンドから大きな拍手が贈られた。そして…。

ストライクゾーンには投げられなかったが、思い切って腕を振り、勢いあるボールを投げ込んだ。

3年・古舘哲平くん:
ショートバウンド投げてしまった、そんな感じですね。練習も色々楽しかったです。良い3年間だったと思いました。何事にも楽しむことにつなげたいです

(サガテレビ)

サガテレビ
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