7月10日に投票が行われた参院選長野県区は、立憲民主党・現職の杉尾秀哉さんが議席を守った。全国的に見れば自民党が議席を伸ばし、特に全国32の1人区は自民が28選挙区を制した。

野党が勝ったのは4選挙区のみだが、このうちの1つが長野県区だ。自民・松山三四六さんも知名度を生かし支持を伸ばしたが、選挙戦終盤の週刊誌報道で勢いを失い、届かなかった。

期日前投票の出口調査では、週刊誌報道前は松山さんがリードしていたが、報道後は杉尾さんに差をつけられた。政治家の資質が改めてクローズアップされた異例の展開。松山さんの選挙戦を振り返る。

選挙戦序盤は応援を受け、勢いに乗る

6月22日の公示日。「一、ニの三四六ー!松山三四六ー!」というかけ声が響いた。

6月22日の公示日
6月22日の公示日
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20年以上、長野県内でタレント活動をしてきた自民党・新人の松山三四六さん(52)。初日には芸能界の師匠である松山千春さんも駆け付けた。

松山三四六さん(演説):
信州人の皆さんの一人一人の思いを袋に詰めて、抱えて、あの国(国政)に行き、我々こそが日本を元気にできるど真ん中なんだと、声を張り上げてまいります

岸田首相が応援に駆け付けた(7月4日)
岸田首相が応援に駆け付けた(7月4日)

知名度は抜群。参院選県区で補選も含めて3連敗中の自民党は、議席奪還に向けて党も手厚い応援を組み、4日には岸田首相も駆け付けた。

週刊誌報道も本人の説明なく 県議「裏切られた」

しかし、6日を境に流れが変わる。

厳しい表情が多くなった松山さん。週刊誌が過去の女性問題や金銭トラブルを報じたのだ。

記者:
週刊誌報道について説明は?

松山三四六さん:
選挙戦が終わるまで弁護士が止めているので、どうしても(お答えが)できないんです。誠心誠意お話しさせていただきますので、本当にごめんなさい

松山さんの擁立は知名度を生かしたいと県連幹部が推したが、異論はあったという。県議らは週刊誌報道を受け、「スキャンダルも多少、出るとは思っていた。ただ、ここまでとはね」「過去のことを問い詰めたが『ない』と言い切った。裏切られたよ」などと話した。

勢いは失速。陣営では8日金曜に安倍元首相、最終日に岸田首相の応援を予定していたが、キャンセルとなった。

敗戦後「議員の資質はないです」

10日、敗戦の弁の後、松山さんは週刊誌報道について会見を開いた。

週刊誌報道について会見(10日夜)
週刊誌報道について会見(10日夜)

松山三四六さん(会見):
その時の私は不誠実であったと、本当に調子に乗っていたんだと思います。しょうもない人間だった。私自身は悔いております

記者:
議員の資質は?

松山三四六さん(会見):
資質はないです、はっきり言って

自民党県連会長「擁立した政党としての責任感じる」

これを受け、松山さん擁立に動いた県連の萩原清幹事長は…。

自民党県連 萩原清幹事長:
(擁立にあたり)本当にタレントでいいのかとか、そういう意見もありました。ただ、我々としては、杉尾候補に勝てるには知名度がある人でなくては勝てないという大前提で、そのこと(過去の問題)については調査していましたから。「ない」ということがわかったのでね

記者:
責任は?

自民党県連 萩原清幹事長:
それは、我々が感じるとかの問題ではない。個人のプライバシーに踏み込む権限はない

また、自民党県連の後藤茂之会長は次のように述べた。

自民党県連・後藤茂之会長
自民党県連・後藤茂之会長

自民党県連 後藤茂之会長(10日):
週刊誌の報道については、我々もじくじたる思いでございます。擁立した政党としての責任を感じるところではありますけど、我々としては慎重に候補者を擁立する責任があること、改めて痛感しております

一方、長野県区で再選した立憲民主党の杉尾秀哉さんは…。

長野県区で再選
長野県区で再選

立憲民主党 杉尾秀哉さん:
(週刊誌)報道があって、明らかに有権者の反応が変わってきた。最終的に「追い風」になったことは否定しない

(長野放送)

長野放送
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