1週間で感染者数倍増「BA.5」が3割超
「感染拡大のスピードが加速しております。 新規の陽性者数の7日間平均は、わずか1週間で倍増しました」 新規感染者数の7日間平均は、前回の2337人から4395人に大きく増加した。
これまでオミクロン株の主流となっていた「BA.2」疑いが全体の57.8%まで減る一方で、より感染力が強いとされる「BA.5」疑いは全体の33.4%まで増え、置き換わりが進んでいることも明らかになった。国立国際医療研究センター大曲貴夫国際感染症センター長は「急激な感染拡大に直面している」と危機感を示した。

1カ月後には5万4000人も
感染拡大のスピードを示す増加比は、前回の138%から188%となり、さらに上昇し続けている、との分析も示された。今のペースで感染が拡大すると1日あたりの新規感染者数は2週間後の7月20日には1万5534人、4週間後の8月3日には、5万4902人となり、第6波のピークだった2月8日1万8012人を超える、との試算が示された。
30代以下が6割
年代別では、20代が22%と最も高く、次いで30代が18.3%で、30代以下の割合が62.8%を占めている。 10代以下では施設内感染の割合が高く、10歳未満では 22.7%、10代では24.9%となっており、保育所や幼稚園、学校での感染拡大に警戒を呼びかけられた。
会食感染も倍増
夜の街の人出が依然高い水準で推移している、との分析が示される中、会食による感染は、前週の173人から361人へと倍増。会食は換気の良い環境でできる限り短時間、少人数で、会話時はマスクを着用し、大声での会話は控えることが改めて呼びかけられた。
入院患者数も2週間で倍増
「これまでの経験を全部生かしながら」 東京都医師会の猪口正孝副会長は、入院患者数が2週間で倍増し、医療提供体制への深刻な影響が危惧され、通常医療とのバランスを踏まえながら、医療提供体制の強化に向けた準備を早急に進める必要がある、との警戒感を示した。
重症患者の病床は・・・
「なるべく社会を止めずに・・・」 東京大学大学院経済学研究科の仲田泰祐経済学部准教授は、重症化率・致死率・入院率は第6波に比べて多少下がりそうだが、大幅に下がる可能性は低い、と指摘。そのうえで第7波の感染ピークが第6波の2倍でも、重症患者数が確保病床数以内に収まる可能性もある、との分析を示された。 しかし、会議で出された1ヶ月後の感染者数の試算5万4902人は第6波のピークの3倍だ。
「お亡くなりになる方をいかに出さないか、重症化をいかに抑えるか」 小池知事は、新規感染者数ではなく重症病床使用率などの指標を重視する考えを示した上で、病床確保レベルの引き上げを医療機関に要請し、宿泊療養を最大規模の1万2000室に、自宅療養について第6波のピーク時まで引き上げたことを明らかにした。

土曜日に1万人超えたら・・・
「イレギュラーではない」 8000人を超える感染者数について、ある関係者はこのような見方を示し、去年やおととしと同様「この夏も感染者数が増える」との見通しを示した。 「もし土曜日に1万人超えたら、拡大がかなり早いか、と」 また、感染者数1万人超えについては早ければ来週、としたうえでこう話した。
コロナの感染が始まった当初は、土曜日に感染者数が多くなる傾向にあったが、最近は、水曜日や木曜日の感染者数の方が多い。このため、今度の土曜日に感染者数が1万人を超えたら感染拡大のスピードが「かなり早い」との見方を示した。
「急拡大の重要な局面で国が会議を開かないのはおかしい。国民の命と健康より選挙を優先するのか」 関係者からは、感染が急拡大するなか、今週厚生労働省の専門家会議が開かれなかった事について危機感の“温度差” を厳しく指摘する声も上がった。

第7波に入った
「第7波に入ったと考えられます」 東京 iCDCの賀来満夫所長はこう話すとともに、ワクチン3回接種により、デルタ株だけでなく、オミクロン株亜系統に対しても高い中和抗体価が得られている、としてワクチン追加接種を改めて呼びかけた。
感染急拡大に、人々からは飲食店の時短要請など行動制限を懸念する声があがる。 3度目の“同じ”夏を繰り返さないために、ワクチン接種と基本的感染予防対策の徹底という同じ事を繰り返すしかないのだろう。
(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)